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土佐の「おきゃく」2007
オフシーズンの観光業界と中心商店街ににぎわいを。お城下が皿鉢になった

 昨年から始まった、高知市中心商店街を舞台にした高知の初春の祭り、土佐の「おきゃく」。街を皿鉢に見立て、食、酒、音楽、アート、よさこい、ダンスなど、様々なイベントが盛り合わせられ、3月3日から11日までの前夜祭を入れて10日間、県内外から訪れた参加者、各イベントの主催者が入り乱れて「おきゃく」を楽しんだ。

県観光業界の冷え込む時季にお祭りを

 「高知の観光業が冷え込む冬場に、新しい祭りをやりたいと思ったのが始まり」と語るのは、発起人の一人でもあり、今年実行委員長を務めた木村祐二氏(高知市はりまや町、株式会社ノーベル社長)。高知県の観光業界は初夏から秋までがオンシーズン。冬場はどうしても落ち込んでしまう。木村氏らが参考にしたのは、「フードピア金沢」。
 フードピアは、金沢市で1985年から開催されている食文化と風土を満喫できるイベントで、石川の冬を代表する「食の祭典」として毎年多くの参加者が訪れている。核となっているイベントは、料亭などで著名人とともに食事や酒、語らいのひとときを楽しむ「食談」だ。土佐の「おきゃく」2007でもワタミ社長の渡邉美樹氏や料理研究家の岸 朝子氏、直木賞作家の山本一力氏などの「食談」が開催された。

「おきゃく」との出合い

 フードピアを参考にしながらも高知らしさを表現しようとしていく中で、木村氏らが出合ったのが「おきゃく」という言葉。「おきゃく」とは一言で言えば、土佐流の宴会。料理を囲んで酒を飲み、歌も踊りもある宴会だ。見知らぬ人でさえ、楽しんでもらう。どこでもいつでも誰とでも…という土佐人らしい豪快さ、痛快さの漂うこの言葉が、祭りの進む道を拓いた。

イベントの皿鉢だ

 「おきゃく」は、よさこいの様な爆発力のある祭りとは違った、高知の食と文化をテーマにした中小様々なイベントの集合体。老若男女を問わず楽しめる粒ぞろいの企画が、毎日どこかで行われる。前出のフードピアが懐石料理なら、「おきゃく」は皿鉢料理。
 イベントを「おきゃく」に付きものの皿鉢に見立て、皿鉢に盛られた料理から、好きなものを好きなだけ楽しむ、ちょっと休んでまた食べる。大人も子どももない、いごっそうもはちきんもない。そんな楽しみ方を提案している。
 また、参加者と主催者の距離が近いのも大きな特長だ。どっちが「おきゃく」なのか分からないといった状況も少なくない。去年の参加者が今年の主催者になるということも、きっとある。そんな期待感が生まれるのも「おきゃく」の魅力だ。

県外からの集客に力を注ぐ

 初回の「おきゃく」は、たった3ヵ月という準備期間で開催されたにもかかわらず、多くの参加者を集め、一定の成果を収めた。しかし、「街興しという意味では県民市民のみなさんに喜んでいただければいい。でも、観光振興という目線で考えれば、初回は県外からの集客に課題を残しました。そこで今回は十分な準備期間がありましたので、県外の企業や県外に拠点のある県内の企業、関係団体に協力をお願いして、チラシやガイドブックの配布などを中心にPR活動を行ってきました」(木村氏)。
 こうした実行委員会の努力と関係企業・団体の協力が奏功し、「よさこい春の舞」や「食談」をはじめ、多くの県外客でにぎわった。
 しかし木村氏は、「ほとんどが中四国のお客様。来年は関西や関東からも集客したい」と来年への意欲を見せる。「そのためには、今あるイベントにもっともっと魅力を感じてもらう仕掛けが必要だし、さらに大きなインパクトのある企画を検討する必要もあるかもしれません」(木村氏)。
 昨年、県観光業界は大河ドラマにからませた二十四万石博の開催によって、少し明るい一年だった。しかし、観光客が増えた一方で、航空機の利用率が前年を割っていたと木村氏は言う。ダイレクトに高知に来た観光客は意外に少なかったようだ。できれば、高知イン、高知アウトのお客様を増やしたい。それが来年の目標だと木村氏は言う。

「おきゃく」の魅力は、無限に広がる可能性

 「おきゃく」へのイベント参加は、基本的に自由。イベントごとの主催者が自らのリスクで行うことが条件だ。問われるのは「おきゃく」の精神のみ。参加者に喜んでもらえるのであれば、中心商店街である必要もないし、まして宴会である必要もない。「今回もガイドブックへの掲載を締め切った後に、数多くの参加申し込みがありました。来年はもっと増えるはず。今後は、いろんなジャンルに『おきゃく』を広げていきたいと考えています。スポーツの大会や数多くのイベントともコラボレーションしていきたいですね」(木村氏)。
 外枠の決められた祭りは、年々縮小していくものだ。「おきゃく」には外枠がない。「おきゃく」の精神を持つイベント主催者が、一人、また一人と増え、祭りはさらに増殖していく。可能性は無限だ。

高知県全体を皿鉢に

 佐川町司牡丹へと向かう土佐の「おきゃく」列車や、ごめん・なはり線SUNSET BARなど、イベントは中心商店街にとどまらない。実行委員会では、さらに郡部へも拡大していく考えだ。「将来的には、高知県内全域に広げて、高知では高知の『おきゃく』、幡多では幡多の『おきゃく』、室戸では室戸の『おきゃく』といった具合に、高知県全部を皿鉢にした『おきゃく』を目指したいですね」(木村氏)。
 来年の同時期には「花・人・土佐 であい博」も始まる。ホップ・ステップを終えた、土佐の「おきゃく」にとってはジャンプの年。どんな相乗効果を生み出していけるのか、期待したい。

 

 「おきゃく」は土佐ならではの文化。そして土佐人気質とホスピタリティそのものでもある。この祭りによって「おきゃく」という土佐の文化、土佐の人情を知ることとなった観光客は多い。県民にとっても「おきゃく」という文化、高知県らしさについて考える機会にもなっている。また、中心商店街のにぎわいづくりにも大きく貢献しており、さらなる進化が楽しみだ。

 

土佐の「おきゃく」2007

http://www.tosa-okyaku.com
主催(取材協力)/土佐の「おきゃく」2007推進会議

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