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県産食材利用新商品開発連携推進事業
完全天日塩、手作り黒砂糖使用。目指すは、究極の幡多銘菓づくり

 県内で生産される質の高い一次産品を使った、個性的で魅力ある加工食品の開発。地産地消がもてはやされる中、付加価値の高い商品づくりとして、多くの食品製造事業者が必ずと言っていいほど取り組んでいる。 
 県産品ブランド室では、こうした新商品の開発に意欲的な事業者と原材料を供給する一次産品生産者を対象とした補助事業(県産食材利用新商品開発連携推進事業)を行っており、今年度も1件の商品づくりが進行中だ。昨年度は、室戸金時芋を使った西山金時芋焼酎「空海」のほか、3件が商品化されている。
 この事業は、事業者と生産者が連携して新しい加工品を開発、販売することで、県内食品製造事業者の支援と県産原材料の利用促進を図ることが目的。具体的には、開発にかかわる経費、マーケティング費用などの3分の1を、150万円を限度に高知県が補助することになっている。
 今年度採択されているのは、黒潮あまから協議会(大石尚史会長)の完全天日塩と黒砂糖を使った和菓子の開発。商品化は目前だ。

若き和菓子職人の挑戦

 「地元のいい物を使った、幡多地域を代表するような新しい和菓子が作れないだろうか」。
 四万十市中村、和菓子處おおいしの三代目、大石尚史さんはこの事業にそんな思いで望んだ。
 京都での修行を終えて一昨年帰郷、現在両親とともに店を切り盛りする大石さん。祖父の代からの味を守りつつも、質の高い原材料の使用や食品添加物を使わない和菓子作りにこだわって、老舗和菓子店を若い力で盛り立てている。
 事業への応募は、三代目としての新たな商品づくり、そして幡多地域で商いを営む者として、幡多のいい物を広く知ってもらいたいという思いからだった。
 大石さんの挑戦は、地元の食材探しから始まった。

厳選素材との出合い

 探し歩く中で大石さんが目を付けたのは、四万十市の隣、黒潮町の特産品である「天日塩」と「黒砂糖」。
 大石さんは、天日塩づくりで全国的にも先駆者的存在となっている黒潮町佐賀の有限会社ソルティーブ(吉田猛さん、かずみさん夫妻)と、大方産サトウキビで黒砂糖を生産する大方精糖生産組合(小橋正義組合長)に事業参加を打診。
 どちらも製法にこだわる、生産量に限りのある希少品。しかし、大石さんの「幡多地域を代表する『いい物』を作りたい」という熱意に両者とも共感、参加を快諾した。

羊羹と最中の商品化を目指す
  三者によって黒潮あまから協議会が発足したのは昨年7月。これまで10回以上の会議を重ね、既存の商品や試作品の試食、意見交換を行ってきた。その中で、商品は素材の良さを最大限に生かせるよう、天日塩を使った羊羹と、黒砂糖を使った羊羹、最中を商品化することとした。

際立つ素材の力

 「素材の力が違う」と大石さん。吉田さんのつくる完全天日塩「土佐の塩丸」は、少量で甘さが引き立ち、嫌味がなく後を引かない。また、大方精糖生産組合の黒砂糖は、自然な甘さと豊かな風味が口の中いっぱいに広がっていく。どこにも負けない、黒潮町でしか作ることのできない商品の誕生だ。
 和菓子處おおいしでは、この出会いをきっかけに、使う塩と黒砂糖をすべて切り替えたのだとか。こんなところにも事業の成果は出ている。

完全天日塩にこだわって23年

 塩羊羹の味の決め手となっている「土佐の塩丸」。吉田さんが、旧佐賀町海岸沿いで塩づくりを初めてすでに23年目になる。「海は大地の様々なミネラルが溶け出した、いわば地球のスープ。そのミネラルをそのまま塩にしたい」と、完全天日の塩づくりにこだわってきた。
 海水を汲み上げては、風と太陽の力だけでたっぷりと時間をかけて海水を結晶化させていく、自然まかせの塩づくり。すべてのミネラルが一粒一粒に宿るよう、より細かな結晶となるよう、何度も何度も丁寧にかき混ぜる。そうしてできあがる「土佐の塩丸」は、しょっぱさだけでなく、甘さや辛さ、酸味、苦さが詰まった塩本来の味。全国で二千名を超えるファンが心待ちにしている幻の塩だ。

伝統製法にこだわる黒砂糖

 黒潮町大方地区のサトウキビ生産者は現在30戸。黒砂糖生産の歴史は江戸時代までさかのぼる。当時は入野砂糖と呼ばれ、特産品として高値で取り引きされていたが、昭和30年代前半、急速に普及し始めた白砂糖によって姿を消してしまう。
 しかし、伝統ある入野砂糖の火を消してはならないと、地元有志が立ち上がり、生産組合を設立、昭和63年に復活した。
 組合では、有機肥料によって無農薬で育てたサトウキビを搾り、約5時間煮詰めていく。仕上げの段階では薪窯で炊き上げるなど、手間ひまのかかる昔ながらの製法だ。量産は困難だが、やさしい自然の甘味と、かすかな酸味、すっきりとした後味の良質な黒砂糖に仕上がる。
 現在収穫量は町内で約81トン。黒砂糖になるのは、その内たった1割程度。毎年すべて売切れてしまうほどの人気商品だ。

幡多地域を代表する和菓子が誕生

 商品化に向けてネーミングが決まった。羊羹は「天日塩の白羊羹」、「薪釜糖の黒羊羹」、最中は「玄最中(くろもなか)」。
 検討を重ねたパッケージデザインと容量は、素材の良さを伝えながら、手にとってもらいやすいもの、消費者の求める食べきりサイズを意識したものになっている。最中は、おおいし店頭でのみ販売される予定。また、各羊羹と「土佐の塩丸」「黒砂糖」を詰め合わせたギフト商品についても検討中だ。
 開発は、いよいよ最終段階。今後は試食会などを通じて消費者の意見を取り入れ、商品化の詰めを行っていくという。
 協議会のメンバーも手応えは十分だ。
 「本当に皆さんの協力のおかげ。どこの商品にも引けを取らないものになっていると思う。こだわった甲斐があった。地元の方に『これはいい物だ』と言ってもらえれば何より」(大石さん)。
 「大方には、よそからお客様が来ても、地元で自慢して持って帰ってもらえるものがなかったと思う。この商品は、絶対に自慢できる。期待しているし、(この事業に)関われてうれしい」(小橋組合長)。
 「生産者としては、塩が単に家庭の調味料になるだけでなく、加工品やお菓子など、いろんな場面で使っていただけるのはとてもうれしいこと。贈答やお土産だけでなく、普段のお茶請けとして、地域の皆さんに喜んでいただけるようになればと思う」(吉田さん)。

 

黒潮町の厳選素材から生まれた新しい幡多銘菓。作り手のこだわりは、味にもパッケージにも、容量にも、十分すぎるほど詰め込んだ。試食宣伝もすでに始まっている。さて、肝心の消費者の反応は?(次号にて報告したい)

 

黒潮あまから協議会

協力:県産品ブランド室(TEL088‐823‐9753)
□和菓子處 おおいし 四万十市中村一条通2丁目26番地 TEL0880‐35‐2560
□大方精糖生産組合 幡多郡黒潮町入野 TEL0880‐43‐2316
□有限会社ソルティーブ 幡多郡黒潮町佐賀49 TEL0880‐55‐3226

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