有限会社 松崎冷菓工業
室戸海洋深層水や土佐ジローの卵、田野町の朝どれ生乳、無農薬ユズなど、地元の素材にこだわったアイスづくりで知られる有限会社 松崎冷菓工業。平成14年に発売を開始した室戸海洋深層水を使った「うみのバニラ」(カップ・もなか)が、大手コンビニチェーンの流通に乗って大ヒット。昨年の県地場産業大賞奨励賞も受賞した。そして2005年3月、また新たな室戸海洋深層水アイスが店頭に並ぶ。更なる飛躍となるか?
松崎冷菓工業は昭和12年、安芸郡田野町旧55号線沿いでアイスキャンデー(ケイキ)屋として創業。当初は店売りのみだったが、戦後になって北川村方面へ自転車での販売を開始。行商先は、当時賑わっていた森林鉄道の駅などだった。「祖母が作ったアイスキャンデーを、父が木製の箱に氷とおがくずを詰め、鐘を鳴らして行商に出かけていました」(松崎達也社長)。
その後、店舗への卸が中心となり、自社製品だけでなくメーカー商品の取り扱いも開始。テレビコマーシャルの影響で、バニラやチョコなど大手メーカーの新しい商品の需要が急速に拡大し、一時は自社製造を中止すべきではという状況になったものの、安くておいしい昔ながらのカップ製品や氷菓を作り続けてきた。
そして昭和62年、中岡慎太郎の生誕100周年を記念して、地域への応援の意味も含めてネーミングした「慎太郎アイス」がヒット。この商品は、「メーカー商品だけでは厳しくなる。自社製品をもっと改良しなくては」という松崎社長(当時専務)の思いから生まれた。背景には、小売店のチェーン化が進み、「まとめていくら」の取引が主流になっていく中で、メーカー商品の卸では利益が確保できないという状況があった。
「自社商品は単価が安い。容量や中味の材料にこだわって、付加価値の高い商品も開発しなければならないと考えていました」(松崎社長)。
さらなる転機となったのは、平成4年にサニーマートと共同開発した無添加アイスだ。当時は香料や添加物への不安が徐々に話題になり始めていた頃。香料や安定剤、添加物を使用しないアイスは大きな注目を集めてヒットし、無添加アイスの松崎冷菓と認知されるようになった。
その後、自社商品の中味を次々に改良。地元・田野町の朝どれ生乳、土佐ジローの卵、無農薬栽培ユズなど、より良いもの、地域のものを生かした商品づくりを行ってきた。自社の売上の7割を占めていたメーカー商品も、気がつけば3割程度に。
「売上的には以前と変わらなくても、自社製品の比率が上がることで利益率は向上している」と松崎社長。安心・安全なもの、素材選びに頑固にこだわることで、根強いファンを獲得してきた結果だ。
地域の自然素材にこだわる同社が出会った究極の自然素材が、室戸海洋深層水だ。同社は平成12年、「深層水を利用した冷菓」で製造特許を取得。平成14年末に発売した「うみのバニラ・カップ」は、そのほんのりとした塩味と深層水が生み出すバニラのコクで一気に人気に火がつき、その後発売された、「うみのバニラ・もなか」とともに大ヒットとなった。
「室戸海洋深層水のアイスを全国に広げるのが当社の使命です」と松崎社長は言う。その言葉通り、それまで県内への流通が中心だった同社は、「うみのバニラ」が牽引力となって、この3年間で自社製品の販売のうち6割が県外出荷となるほど全国の市場を開拓した。
「うみのバニラ」に続く商品としてこの3月、3点の新商品が店頭に並ぶ。室戸海洋深層水を添加することで、ユズ(高知県産)とはちみつの甘さのバランスが絶妙に保たれた「ゆず日和」。卵を使用していないアイスクリームの中に、自家製でジャム状にしたいちごの果肉が含まれた「いちご気分」。ユズ、はちみつ、海洋深層水のバランスのとれた甘みとすっきりとしたあと味で、自家炊きユズ皮が味わいと食感のアクセントになっている「はちみつ氷」だ。
「『うみのバニラ』は海洋深層水で、『塩味』という提案をしましたが、深層水を使うことで、いろんなものがおいしくなるということを知っていただきたい。そういう商品です」(松崎社長)。
同社では、「うみのバニラ カップ・もなか」も含めて、これらを単価120円の新たな付加価値商品シリーズとして小売店へと展開していく考えだ。深層水アイスとしてのカテゴリーを定着させられるかに、期待がかかるところだ。
同社の商品づくりの原点にあるのは、心をこめた手作りのアイスを、待ちきれない子どもたちに手渡しで届けてきたという、今も変わらぬ「町のアイスキャンデー屋さん」の姿勢だ。提供するアイスは変わっても、企業姿勢は変わっていない。同社の「土佐の『ほっ』とするアイスです」というキャッチフレーズからもうかがえる。見かけや流行にとらわれず、安心・安全にこだわった同社のアイスづくりこそが、大手メーカーとは違った消費者との信頼関係を築き上げている。
有限会社 松崎冷菓工業
〒781‐6410 安芸郡田野町2764番地1
TEL0887‐38‐2107 FAX0887‐38‐2673 http://www.tosa-ice.com
代表者:代表取締役 松崎達也
創業:昭和12年 設立:昭和45年 【事業内容】冷菓製造