有限会社ファーイーストダイニング
有限会社イワサキ・コーポレーション
県外にも知られるほどにぎやかだった柳町界隈も、かつての活気はなく、明かりの灯らぬテナントや建物も目に付くようになった。人通りも週末にのみ集中しているようだ。飲食店経営者にとって、容易ならざる状況と見て良いだろう。しかし、そんな中でもしっかりと客の心を掴み、勝ち組となっている店もある。有限会社ファーイーストダイニングと有限会社イワサキ・コーポレーションが経営する4店がそうだ。今年オープンしたばかりの南はりまや町の「堀川」も、中心街から離れた立地でありながら、人気は上々だ。
女性客や若者を中心に幅広い客層を持つビストロ居酒屋「ぎんなん」。新鮮な刺身をはじめとする和食や中華、洋風料理など豊富なメニューがそろう。酒は、全国から取り寄せた焼酎、日本酒、ワイン、カクテルなど。客層を問わず楽しめるタイプの居酒屋だ。洗練されたイメージとクオリティの高い料理、そして値ごろ感が人気の秘密だ。
一方「ぎんなんはなれ」は、土佐の食材を和に洋にと創作したオリジナル料理が人気。「ぎんなん」に比べると少し落ち着いた雰囲気で料理を楽しむことができる。
入り口にはただ「辿る」とのみ記されている。一見すると何の店かもわからず、入店を躊躇しそうな店構えだ。”隠れ家的“とうたう居酒屋は多いが、これほど”隠れ家“を思わせる店はない。入口の難関を越えても、迷路のような廊下が待っている。白と黒を基調にしたモダンで落ち着きのある店内で、ひときわ目を引くのがオープンキッチン。厳選された旬の食材が目の前で美しい和・洋の料理に生まれ変わってゆく。
こうした個性的な雰囲気とクオリティの高い料理がオトナゴコロをくすぐって人気を呼んでいる。
南はりまや町、かるぽーとのほど近く。築60年の酒屋の倉庫を改装してオープンした「堀川」。古い倉庫のレトロな雰囲気を生かしながらも、チェアや照明などモダンなトーンを織り交ぜた店内は、老若男女がにぎわうレトロな酒場のイメージで、旬の食材を使った料理や豊富な種類の酒が楽しめる。
また、隣接する酒販店にも店内から自由に行き来できるようになっており、約300種類のワインやこだわりの地酒、焼酎など値段に関係なくどれでも1点につき1000円の持ち込み料で持ち込むことができる。
この場でしか味わえない雰囲気とサービスが、30代40代はもちろんのこと、団魂の世代の大人たちにも受けている。
これらの店を経営する岩崎太郎社長の店づくりの考え方は非常にシンプル。「自分自身が行きたい店」であること。「私は焼酎もワインも大好き。だから焼酎とワインを一緒に飲ませる店なんです。必然的に提供する料理も和食と洋食といった具合になる」(岩崎社長)。
岩崎社長が最初の店であるブロッコリー(帯屋町、現ぎんなん・はなれ)を開店したのが平成7年。30代前半の頃だ。その後も自身の”行きたい店“を指針に店づくりを行ってきた。
「ぎんなん」と「ぎんなん・はなれ」は、30代であった岩崎社長の”行きたい店“で、「辿る」と「堀川」は40代になった岩崎社長の”行きたい店“なのだという。
「店に魅力があればお客様はやってくる」と岩崎社長。中心街にある多くの飲食店が集客に苦戦する中、蓮池の「辿る」、南はりまや町の「堀川」と、中心街とは少し離れた立地にありながら連日にぎわいを見せる。
「『辿る』のオープンから2年半、『堀川』のオープンから半年、良い店は中心街から離れていてもお客様を呼べるということが実証できました」(岩崎社長)。1品分のタクシー代を使っても、店選びにこだわりたい客層を確実に掴んでいる。
また、「飲み方が変わったということもある」と岩崎社長は分析する。過去には3、4件をはしごする人も多く、どうしても複数の店が集まる中心街の方が良かったが、最近は1店で完結する飲み方をする人が増えているという。こうした状況も、中心街に立地する必要性を薄くしているようだ。
しかしそれは、それだけの満足感を店側が提供しているということでもある。長い時間を過ごしてしまうだけの魅力があるからこそ、1店で完結できるわけだ。
「おいしいということは、お客様が満足する要素の一つであって、繁盛するためのすべてではないと考えています。照明であり、音楽であり、従業員の笑顔もそう。形式張らない、お客様が喜んでくれることを喜びとできる接客。そうして生まれる店の空気感といったものが、『また来てみたい』、『誰かに伝えたい』と思う感動を生むのだと思います」(岩崎社長)。
それぞれは、ほんの少しのこと。しかしそれらを積み重ねていくことが、長く支持される店づくりには大切だと岩崎社長は言う。
「飲食業は人間力」。同社では、実績や経験よりもお客様の求める期待感に気づくセンス、感動してもらいたいと思う強い気持ちを大切にしている。ハード面だけなら真似ることは容易だが、同社の人間力があってこその「魅力ある店づくり」なのだと教えられた。
有限会社ファーイーストダイニング/有限会社イワサキ・コーポレーション
〒780‐8011高知市梅ノ辻7-22-1206
代表取締役 岩崎太郎
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