TOP > クローズアップカンパニー > 株式会社技研製作所

株式会社技研製作所

独自の技術、製法の開発は企業にとって大命題。しかし、開発に満足して、その技術を100%活用しきれていないケースもあるのではないか。高い開発力で他の追随を許さない、技研製作所。同社では近年、独自に開発した圧入工法の新たな活用法を提示した新事業を積極的に展開。多くの注目を集めている。開発力、技術力のその先を見る企業、技研製作所の取り組みを聞いた。

圧入工法が生み出した地下開発という新資源

 無公害杭圧入引抜機「サイレントパイラー」で、建設機械メーカーとして世界にその名を知られる技研製作所。同社の歴史は、サイレントパイラー開発から始まった。ビル建設や土木工事に欠かせない杭打ち。高度経済成長期、次々に行われる大型建設において、杭打ちの騒音と振動は大きな建設公害として問題視されていた。その解消に向け、技研製作所の社長である北村精男氏が無振動・無騒音で杭打ちを可能にする「圧入原理」を考案。さらに75年、「圧入原理」を施工機械として実用化した油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を完成させた。その後も改良を重ね、機体の軽量化や硬質地盤対応機などが開発されている。現在、杭打機の分野では国内市場を独占。生産販売台数は累計3000台を超えている。圧入工法で国内建設業界においてゆるぎない地位を築いた技研製作所が、培った技術を駆使し、地下開発の新提案を行う新規事業に取り組んでいる。その先駆けとなったのが、地下立体駐車場「エコパーク」と地下立体駐輪場「エコサイクル」だ。エコサイクルは今年8月、第2回「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞に表彰された。現在、香川県の丸亀町一番街駐輪場など全国7ヵ所に20基が設置されている。

ゼロからの開発はトップランナーの宿命

 エコサイクルは、圧入技術を駆使して造る直径7メートル、深さ10メートルの円柱状の地下空間を利用した立体駐車場。地上部は入出庫のためのブースのみで、エレベーター式の駐車場と同じように出し入れする。入出庫システムや機械装置も独自に開発し、施工から、躯体、機械装置までパッケージとして提供している。「利用者の使いやすさを第一に考えました」と話すのは、機械装置の開発に携わった技術開発部地下開発設計課の池田敏夫課長。最も力を入れたのは、スピーディな出し入れの実現だ。待ち時間の長さは、現代人にとって大きなストレス。スムーズな入出庫システムを構築し、最短で6秒、平均で10秒の搬送時間を可能にした。このほかにも、音声ガイダンスやセンサーなどを採用し、安全性や使い勝手の良さを向上させている。「円形の躯体にあわせた仕様や、サイズや形が多様な自転車に対応できる設置機器の開発に苦労しました」。前例がないゼロからの開発。先駆者に課せられた宿命だが、これを成し遂げられるのも、技研製作所が持つ開発力の高さの証だろう。近年、都市部における駐輪公害は深刻な社会問題となっている。駅前などでの迷惑駐輪や放置自転車は、景観を損なうだけでなく、歩行者の安全も阻害。しかし、スペースの関係で手をこまねいているのが現状だ。きわめて省スペースで駐輪場が確保できるエコサイクルは、今後も多くの需要が見込まれている。

付加価値のついた建築基礎が地下空間で「稼ぐ」

 「エコサイクルもエコパークも、当社が考える地下開発の手はじめ」と話すのは、エコサイクル開発にも携わった常務取締役の南哲夫氏。約20年も前から構想として持ち上がっていた地下開発事業。「地上には文化を、地下に機能を」を理念に掲げ、さまざまな地下空間の利用法が検討されている。例えば、と南氏が例にあげたのはガスタンク。景観に大きな影響を与える目立つ存在なだけに、地下への設置が可能になれば都市景観の大きな改善になるだろう。さらに、地上部には新たな活用法を生み出すことができる。

 エコサイクルの影に隠れたカタチとなったエコパークだが、可能性の大きさからいえばこちらが上になるかもしれない。大型建築物で必要となる杭基礎。構造物を支え、地震や強風による倒壊を防ぐ。技研製作所では基礎杭として、円筒形状に圧入杭連続壁を設置。その内部空間をエコパークとして活用しようというものだ。円筒形にしたことで、従来の基礎杭よりも耐震性もアップ。一石二鳥のこの杭基礎を、同社では「稼ぐ耐震構造基礎」と名づけた。03年には、東京都港区に世界初の「稼ぐ耐震構造基礎」式オフィスビルが完成。地下ではエコパーク2基とエコサイクル1基が稼動している。
 技研製作所の地下開発事業の強みは、圧入工法が担うところが大きい。低振動、低騒音による施工に加え、工期も短く作業面積もコンパクトだ。また、硬質地盤対応機であるクラッシュパイラーを10年前に完成。「地盤を選ぶことなく、圧入工法を施工できるようになりました」(南氏)。さらに、施工技術も他社にはまねができない、と南氏は自信を見せる。「例えばエコパークであれば、134本の杭材(基礎部材)を円形に正確に打ち込まなくてはならない。原理と理論に基づく、高度な施工技術が必要です」。開発力と技術力の結合。今日の技研製作所の発展は、これに尽きるのかもしれない。

 今年創業40周年を迎える技研製作所。これまでを創造期、そしてこれからを発展期と位置づける。「今後は、これまで開発してきた工法や建設機器を積極的に市場に開放していく計画です。そのために技術指導の仕組みを整備し、標準化、マニュアル化を進めていきます。同時に当社はこれまでの労働集約型企業から頭脳集約型に変えていく。圧入工法を核に、さらに開発に特化した企業を目指します」と南氏。すでに顧客支援のために新しい総合支援システム「GTOSS(ジトス)=GIKENトータルサポートシステム」のサービスを03年から開始。施工技術や機械保全から経理、総務などの日常業務に至るまでソフト化して提供している。さらにこれをもって、世界市場の開拓を計画している。圧入工法の可能性をさらに広げていくための、新しいステージを迎えた技研製作所。その視野は、国内から全世界へと広がっている。

株式会社技研製作所

高知市布師田3948番地1(高知本社)
TEL088‐846‐2933 http://www.giken.com

Copyright © Business Kochi. All Rights Reserved.