
第8回:中小企業の会計に関する指針・その1
(承前)1999年以降、金融機関は大きく様変わりをした。風景が一変したと言っていいだろう。ところが、このような変化にあまりにも無頓着な経営者が多いのも事実。間接金融を恃む中小零細企業にとって、金融機関との取引は非常に重要であり、その大前提となる『決算』や『決算書類』は同じくきわめて重要である。色々な場をお借りして、これらの重要性を説いている小生であるが、それが遍く理解されているとは言い難い現状がある…
前回、会社法改正の影響で、従来より作成されていた計算書類の内容が大幅に変更された現実をお知らせした。実は会社法改正と歩調を合わせるように、関係各団体が協働して漸くこの世に現れ出でた、中小企業経営者にとって大変重要かつ新しいルールがある。それが今回のテーマ『中小企業の会計に関する指針』だ。少し長くなるが、昨年8月3日に発表された前文を披露しよう。
『日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会は、このほど、中小企業、とりわけ新会社法において導入された会計参与が計算書類を作成するに当たり拠ることが望ましい会計処理を示した「中小企業の会計に関する指針」を公表いたしました。
中小企業の会計処理については、従来、@中小企業庁の「中小企業の会計に関する研究会報告書」(平成14年6月)、A日本税理士会連合会の「中小会社会計基準」(平成14年12月)、B日本公認会計士協会の「中小会社の会計のあり方に関する研究報告」(平成15年6月)の3つの報告等が存在することから、利用者に少なからず混乱が生じ、それらを統合すべきであるとの指摘が多方面から寄せられておりました。
一方、会社法(平成17年6月29日成立)において、取締役・執行役と共同して計算書類を作成することを職務とする「会計参与」制度の導入が提案されたことから、同制度の適正な運用を図るため、会計参与が拠るべき統一的な会計処理の指針を作成することが期待されました。
そうした指摘等を踏まえ、本年3月に関係四団体が主体となり、学識経験者並びに中小企業庁、法務省、及び金融庁のご参加を得て「「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会」を設置し、上記3つの報告書等の統合に向けた検討作業を開始しました。
その後6月13日に、一応の検討結果を公開草案として公表し、広く各界から寄せられたコメントを分析、検討した上で、8月1日開催の検討委員会において、「中小企業の会計に関する指針」を確定いたしました。
関係四団体においては、この指針が中小企業に受け入れられ、中小企業の会計の質の向上に役立つことを期待するとともに、今後、中小企業の取引実態に合ったより合理性のある指針とするため、継続的にその見直し改訂を行うこととしています。』
(http://www.jcci.or.jp/nissyo/050803chusyo-kaikei/top.htmより)
現在のバージョンは平成18年4月25日版である。読者の中で会計に詳しい御仁もおられると思うが、今夏に『繰延資産』の取り扱いが変更され、「社債発行差金」が既に『繰延資産』から除外されているので、4月25日版の指針も、早晩、他の改正事項(棚卸資産の評価方法など)と合わせて改正されていくだろう。
なお、前文にもあるとおり、今回の指針は『会計参与』という機関を会社に新たに設けた場合に強制的に準拠すべきルールとして位置づけられているが、現実問題としては、『会計参与』設置会社以外の中小企業も、積極的に会計指針に準拠した計算書類を作成すべきであろう。
その心は?
そういう時代になったからである。
最後にごくごく簡単な事例質問をしてみよう。御社の経理担当者が答えがわからなければ、顧問会計事務所の所長に直接インタビューして頂きたい。でももしこの問題に即答できないようなら……(以下自粛……(^o^)ノ……)
【質問】
会社(総資産5億円の製造業)が10年来、某上場企業の株式(取得価額3千万円)を保有しています。因みに会社が保有する某上場企業の株式の期末時価は5千万円になっています。さて、この12月の決算に際してどういう風に経理(表示も含めて)されますか?
