
第6回:先行技術調査の必要性
特許法では、特許出願の明細書に、特許を受けようとする発明と関連のある公知文献の情報を記載することになっています。この公知文献は、出願時に知っているものであればよく、必ずしも、公知文献を見つけるために先行技術調査を行わないといけないわけではありません。
しかし、先行技術を知らなければ、すでに他人が同じような発明をしていても、それに気づかず、新規性のない内容の出願をすることになり、出願が無駄になってしまうことが多々あります。また、出願しようとする発明の本質がどこにあるのかは、一般的に、先行技術との比較によって初めて明らかにすることができるものです。
したがいまして、出願前に先行技術調査を行っておけば、無駄な出願を防止できるとともに、特許を受けようとする発明と先行技術との差異を明確に把握したうえで、審査にパスしやすく、特許後も潰れにくい、中身の充実した出願書類を作成することができます。
また、特許出願することは特に考えていない場合でも、研究開発や事業展開を進めていこうとするときに、先行技術調査を行なうことはきわめて有益ですので、積極的に行うべきです。例えば、新製品を販売しようとする場合は、他人の特許の存否を予め知ることで、特許権侵害のトラブルを回避することができます。支障となる他人の特許を発見した場合には、先行技術文献から、特許無効審判を請求するための証拠資料を見つけ出すことができる場合もあります。
先行技術調査は、主に、公開特許公報(出願中のもの)や特許公報(特許になったもの)などの特許庁が公開する公報を調べることにより行います。これらの公報には、各社が開発した新規な技術情報が記載されているだけでなく、出願日や公開日、審査請求の有無等も記載されていますので、各社の技術開発の状況や方向性を推測するのに役立つ有力な情報として利用することができます。
これらの公報は、特許庁の庁舎内に設置された独立行政法人工業所有権情報・研修館、各地の経済産業局、知的所有権センター(IPセンター)、社団法人発明協会(JIII)の各都道府県支部などで閲覧することができます。また、有料ですが、特許事務所や調査会社に依頼すれば、欲しい情報をより的確に得ることができるでしょう。
先行技術調査は、インターネットで行うことも可能です。インターネットで先行技術調査を行なう場合は、独立行政法人工業所有権情報・研修館が開設している「特許電子図書館」(http://www.ipdl.ncipi.
go.jp/homepg.ipdl)を利用することができます。ここでは、公報類を出願番号や技術用語のキーワード等によって検索することが可能で、さらに出願された特許の審査結果等、公報に記載されていない情報についても調査することができます。
「特許電子図書館」で提供されている主なサービスには、次のような項目があります。
・初心者向け検索(指定したキーワードに基づいた検索)
・特許・実用検索、意匠検索、商標検索、外国文献検索(キーワードや文献番号、分類、名称等の情報に基づく検索)
・審判検索(審判の結果・内容の検索)
・経過情報検索(審査・審判・登録等の詳細な経過情報の検索)
・その他情報(技術分野別特許マップ、法規便覧などの情報)
・文献蓄積情報(閲覧可能な情報の蓄積状態)
このように、「特許電子図書館」では、無料で様々な情報を得ることができますので、まだ利用されたことのない方は、一度アクセスされることをお勧めします。