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第3回 「マジっすかぁ?」

(承前)


 1999年以降、金融機関は大きく様変わりをした。風景が一変したと言っていいだろう。ところが、このような変化にあまりにも無頓着な経営者が多いのも事実である。間接金融を恃む中小零細企業にとって、金融機関との取引は非常に重要である。その大前提となる『決算』や『決算書類』は同じく重要である。色々な場をお借りして、これらの重要性を説いている小生であるが、なかなかその重要性について遍く理解されているとは言い難い現状がある。


 最近、とある大先輩から非常に意味深な話しを聞いた。コラムのテーマに密接に関係があるので、ここでご紹介しよう。


大先輩:「松岡さん、この前、ある業界のパーティーにいっちょったがやけんど、その場で、その業界の結構偉い手さんから、こんなこと聞いたがよ。松岡さんはどう思うぜぇ、本当やろうかねぇ。」


小生:「先輩、どんな話しながです?」


大先輩:「その偉い手さんが言うにはねぇ、『高知のいくつかの会計事務所・税理士事務所が《うちの事務所が作った決算書やったら、金融機関さんがお金を貸してくれる》いうて、まぁ、宣伝でやろうけんど、わしにそう言いゆうがよ。けんど、そんなことが本当にあるがかね?』って聞かれたがよ。わしもびっくりしたき、あんたにちょっと聞いてみたがやけんど、どう思うぜよ……?」


小生:「……えっ!そんなあほな!(驚きのあまり絶句)……」


 さて、みなさん、どう思われますか?
 確かに公認会計士が監査をするような、ごく一部の大会社を除いて、一般の中小零細企業の決算書に関しては、このコラムのテーマでも採り上げているとおり、プロが見たら『おいおい何やこれは…』という決算書が跋扈している現実は否定しない。小生も微力ながら、かかる現状を少しでも改善できるように一職業会計人として、蟷螂の斧で挑んでいる。追ってこの欄で採り上げていく予定だが、前回『決算書はバナナである』と書いたのも、実はこの問題の本質ともかかわる大切な論点だ。
 そのくだんの「偉い手さん」が小耳に挟んだコメントが仮に真実なら、世の中こんなにハッピーなことはない。それこそ、テレビ番組ではないが【行列の出来る事務所】となることは間違いない!
 思うに、このコメント、大きなところで致命的なミスを犯している。
 話しは簡単。金融機関の視点がすっぽりと抜け落ちている。金融機関で法人向けの融資を担当(あるいは審査)されたことがある方なら、頷いていただけるだろう。確かに金融機関は、リレーションシップバンキング(通称リレバン)の推進強化を打ち出し、適正な決算や税務申告を行っている会計事務所と関係を強化していて、その事務所が決算や申告にかかわっている場合は審査等の一部の手続きを簡略化したりしているが、リレバンの進捗度合いから見て、未だに本流になっているとは言い難いと思う。方向性としては正しいと思うが、現実や肝心の現場が果たしてそこまでキャッチアップしているかどうか…。


 広告宣伝文句として謳うのは自由であるが、決算書というものは自社で作成しようが、どこかの会計事務所に外注しようが、それ以前の前提条件を満たした上でかつお金を貸せる内容であれば金融機関は自らのリスクで融資するであろうし、そうでなければ、誰が作成しようが金融機関はお金を貸してはくれまい。


 金融機関も随分と舐められたものである。


 が、あえて、誤解をおそれずに書けば、くだんのコメントに一理はある。前言を翻すのか?とお思いの御仁、次回以降請うご期待。
(つづく)



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松岡 宣明(まつおか のぶあき)
松岡宣明税理士事務所 所長
〒780-0863 高知市与力町3番4号MAビル
TEL:088(822)8660 FAX:088(822)8662
e-mail:tax007@minos.ocn.ne.jp


高知県出身、1961年生まれ。
京都大学経済学部卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て平成9年松岡宣明税理士事務所開業。
平成11年CFP(ファイナンシャル・プランナー上級資格)試験合格。
NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会高知支部・副支部長、高知大学人文学部・非常勤講師。

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