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FPプロムナードBUSINESS
第12回 「中小企業の会計に関する指針」(番外編の2)
(承前)
1999年以降、金融機関は大きく様変わりをした。風景が一変したと言っていいだろう。ところが、このような変化にあまりにも無頓着な経営者が多いのも事実。間接金融を恃む中小企業にとって、金融機関と良好な取引関係を維持することは『ライフライン』であり、その大前提となる『決算』や『計算書類』は極めて重要である。そして決算等の基礎となる『会計ルール』は社会の重要なインフラストラクチャー、『世界共通語』と言っても過言でない。漸く、我が国の中小企業にもメルクマールとなる『中小企業の会計に関する指針』が登場した。中小企業は積極的にこの指針に準拠した計算書類を作成すべきである。もはやそういう時代である。
以下のお話は、前回(URL http://www.asahi-area.com/bk/)の3ヶ月後。A社でA社長とM税理士が決算の打ち合わせをしているところに、偶然銀行員のDさんがやってきました。(以下内容は完璧なフィクションです。)
2008年2月8日
A社長:あら、Dさん、久しぶりですね。丁度よかった、決算の最終打ち合わせをM先生とやっていたところだよ。M先生と面識はあるのかな?
M税理士:社長、「先生」はやめてください。税理士は「先生」なんて呼ばれる仕事ではありませんよ。(先生って言われるのが一番嫌なんですよぉ〜!)
A社長:悪かった悪かった、Mさんは頑固だから。ふぉっふぉっふぉっ。で、こちらがうちのメインバンク○○銀行の「若手のエース」、Dさんだ。Dさん、こちらが私の税金や会計のアドバイザー、Mさんじゃ。
銀行員D:○○銀行のDと申します。よろしくお願いします。(うわ〜〜いきなり「若手のエース」だって。キタ〜〜〜この社長苦手なんだよなぁ〜。今日はよりによって、税理士まで一緒かよぉ〜〜〜)
M税理士:こちらこそよろしくお願いします。(この人が以前社長が言ってた例の担当者ねぇ…感じのいい青年のようだけど…)
話は今期の決算方針になりました。
A社長は12月のバーゲンでも売れ残ってしまった「数年前からの滞留(不良)在庫」の評価と、数年前に店舗改装を行った際の「減価償却費(第1話「大変な時代」を参照)の未計上分」の処理についてM税理士と打ち合わせています。
A社長:で、Mさん、今回はやはり赤字決算ですな。アドバイス通り、「不良在庫の評価損の計上」と、「過年度の償却不足の引当」を、それぞれせんといかんですなぁ。
銀行員D:(おいおい、いきなり赤字かよぉ〜。3ヶ月前の決算打ち合わせの時はそんなこと聞いてないよ〜〜〜)
M税理士:平成20年4月から、通常の棚卸資産については評価方法が低価法一本に統一されますからね。もっとも、会計のルールが変更になっても、法人税法は今のところ、トレーディング目的の棚卸資産の取り扱いを新設したのと、それ以外の通常の棚卸資産の原価法と比較する低価法の期末評価額を「事業年度終了の時における価額」と変更しただけですけどね。
A社長:Mさん、相変わらず、難しいよ、話が。もっと簡単に言ってよ。
M税理士:すみません、ルールとか法律の話なのでつい……。まぁあっさり申し上げれば、通常の会社なら評価方法を税務署に届けてもいないでしょうから、「何もかわらない」ということですね。会計ルールが低価法に一本化されても、誤解を恐れずに言えば、法人税の取り扱いも大きくは変わっていないということです。
A社長:うん、そういってくれればよくわかりますよ。
M税理士:ですから、期末の不良在庫については最終的には、次期に処分するにしても、今回の決算では、評価額が下落している部分については、有税で評価損を計上する方法がいいと思います。
A社長:うん、わかった。あと、例の店舗改装分の減価償却の不足だよねぇ。ここ1〜2年は償却限度額を計上しているけど、これではやっぱりまずいのかね。どうだい今日は物静かなDさん?
銀行員D:は、はい、そうです……かねぇ…。(いきなり、ふらないでよぉ〜)
M税理士:過年度の償却不足分の取り扱いについては「指針」にもあります。今回の決算で、過去の「粉飾」に決別しましょう、社長!
A社長:Mさん、「粉飾」じゃないよ。赤字になったら、まずいから、償却費を計上しなかっただけなんだよ。銀行さんも言ってるでしょ、「赤字はダメだって!」(前の顧問税理士も「それでいい」って言ってくれてたよ。これが「粉飾」だなんて、全然思いもよらなかったよ〜!)
M税理士:社長、今まで私が何度も言ってるように、それこそまさに「粉飾決算」なんですよ。(これは絶対譲れない!!!)
A社長:あいかわらず厳しいねぇ、わかりましたよ。有税で償却しましょう。まぁ、私もあと一年で息子に社長の座を譲ろうと考えていますので、将来のためにも今回の決算でけりをつけておくべきですな。で、Dさん、こんな感じで決算すすめますが、支店長にも宜しく伝えておいてくださいな。
銀行員D:でも、社長、やっぱり赤字はまずいんじゃぁないでしょうか?
A社長:いやいや君ね、有税の評価損計上と有税償却をするんだよ。有税ね。(おいおい、もう少し勉強しろよぉ〜!進歩ないなぁ……)
M税理士:Dさんねぇ、「赤字決算」といっても、A社さんは、本業が好調ですから、キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローは大幅な黒字です。もちろん、税効果会計も適用しますので、最終的にはさほど大きな赤字にもならないと思いますが………
銀行員D:(ぜ、税効果会計でさほど大きな赤字にならない??意味わかんねぇよぉ!)
A社長:ではその方針でいきましょう。Mさん、より詳しい数字がでましたら、ご連絡下さい。
銀行員D:し、社長、赤字決算はやっぱり………
A社長:営業キャッシュが潤沢にあるから、来期はV字回復できるよ。大丈夫大丈夫。ふぉっふぉっふぉっ………それより銀行さんも、株価が上がるように頑張ってもらわないと、今回の決算でも、うちのBSに計上されている「その他有価証券評価差額金」相変わらず大きくマイナスなんだけど……
銀行員D:…………(あ〜〜、前回しくじったのまだ覚えてるんだぁ〜〜)………
(つづく)
松岡 宣明(まつおか のぶあき)
松岡宣明税理士事務所 所長
〒780‐0863 高知市与力町3番4号MAビル
TEL 088(822)8660
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高知県出身、1961年生まれ。
京都大学経済学部卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て平成9年松岡宣明税理士事務所開業。平成11年CFP(ファイナンシャル・プランナー上級資格)試験合格。NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会高知支部・副支部長、高知大学人文学部・非常勤講師。
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