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株式会社くじらハウス 小笠原 豊さん

産学官連携のものづくり

2007年秋号掲載
土佐ワーキングウーマン

〜高知を元気にする女性の力〜


 社会に出て働く女性の多い高知県。経営者として手腕をふるう女性もいれば、多くの部下を持ち一線で活躍する女性や、ベンチャーを起業する女性、社会起業家、個店経営者・・・。 高知県では非常に多くのワーキングウーマンが活躍している。どの女性も高感度で、女性らしい柔らかな発想と男性にも負けない推進力を併せ持つ。そして「はちきん」らしく明るく元気だ(もちろん県出身者ばかりではないのだが)。しかしその存在感は、「はちきん」という言葉では説明できないほど、多才で魅力的。
 この特集では「土佐ワーキングウーマン」と題し、一部ではあるが県内外で活躍する高知の女性たちにご登場いただいた。


株式会社くじらハウス 小笠原 豊さん
産学官連携のものづくり


 活性保持水、鮮度保持シート、介護用シーツなどの食品・生活衛生商品の開発・販売を手掛ける株式会社くじらハウス。いずれも、ぶどうから抽出したポリフェノール(プロアントシアニジン)と糖質トレハロースの混合物が持つ、抗菌・抗酸化・消臭という3つの作用を利用した商品だ。商品化に当たっては、大学や研究機関、行政との連携力が力を発揮した。
 こうした連携の中心にいるのが同社代表の小笠原 豊さん。持ち前の粘り強さと明るさが、同社のものづくりを支えている。


 滋賀県出身。短大卒業後、京都市内の医療機器メーカーの技術部に勤務し、知財管理を担当した。結婚を機に退職、高知へとやってきた。すでに高知での暮らしの方が長くなっている。
 友人らと共同で、高知市桟橋通りに雑貨販売とインターネットのできる喫茶店を開業したのが99年。くじらハウスと名付けた。業績は、決して順調と言えるものではなかった。


 転機となったのは、ある技術との出合い。情報をもたらしたのは、京都時代の同僚だった。
 「ブドウから抽出したプロアントシアニジンと糖質トレハロースの混合物が、強力な抗酸化作用を持っている。高知でブームになっている海洋深層水と組み合わせて商品化してみては?」
 この技術は国際糖尿病教育学習研究所の馬場茂明博士(当時)が発明したもので、特許を所有する林原商事(岡山市)から使用許可も得られた。
 しかし商品化するには、抗酸化力についての科学的な裏付けが必要だった。そこで中小企業連携組織等調査開発等支援事業の認定を受け、河野雅弘高知工科大学教授(当時)と共同研究に着手。何度も実験を繰り返しながら、商品化に必要な実証データを蓄積した。
 こうして誕生したのが、活性保持水「for(フォア)」。プロアントシアニジンと糖質トレハロース、それに室戸海洋深層水と四万十川源流の湧き水を配合している。平成15年度の土佐のいいもの・おいしいもの発見コンクールで優秀賞、高知県地場産業大賞では奨励賞を受賞した。


 この原理を応用した抗菌用品も生まれた。きっかけは「紙にしみ込ませてみてはどうか」というスタッフのアイデア。同社は、高知工科大、高知県立紙産業技術センターとの共同研究で、抗菌作用の強い鮮度保持用「ととシート」と介護用「よつばシーツ」を開発した。
 これらは、プロアントシアニジンと糖質トレハロースを調合した水溶液を不織布に塗布・乾燥させたもの。この水溶液に細菌を入れても死なないが、塗布して乾燥させると、強い抗菌性を発揮し、ブドウ状球菌のような球菌、桿菌に対しても、99.99%の殺菌、不活性化することが確認された。しかもその抗菌・抗酸化作用は長期間に及ぶ特徴があった(昭和大学病院において行った1000回以上の抗菌試験データによる)。
 中小企業庁が進める新連携モデル事例にも選ばれ、念願の地場産業大賞も受賞した。


 連携力で商品づくりはできた。機能性、安全性、将来性のお墨付きもある。だからといって売れるわけではない。既存の商品がある以上、商品力だけで市場を開拓していくことは難しい。開発よりも販売で「苦戦した」。


 しかし、ここに来て「ととシート」に活路が見えた。焼肉店に評判がいい。肉をシートでくるんだ上からラップして冷蔵保存すると、変色を抑えられ、長持ちする。鮮度保持はもちろんだが、特に評価されたのは変色の抑制。多少の変色では味や肉質に影響はなくても、生肉のままテーブルに運ばれる焼肉店や目の前で焼き上げる鉄板ステーキの店では、肉の色は重要。悩ましかった真空パックの繰り返しや変色部分の廃棄といった問題を「ととシート」が解決した。
 現在は焼き肉店を中心にサンプルのDMを送るなど、地道ではあるものの、徐々に販路が広がり始めた。


 一方、介護用「よつばシーツ」は少し形を変え、コンパクトになった。当初のパッケージでは、「自転車のかごに収まらないし、運びづらい」。介護現場からの要望だった。
 袋詰めで増えた分の作業は、高知市旭町の身体障害者通所授産所にお願いした。「支えを求める現場で使われる商品を、ものづくりそのものが支えになる現場で作る」ようになった。「ものづくりの大切さを実感している」と小笠原さんは言う。


 健康志向や食の安全・安心という時代のニーズをとらえた高知発ベンチャーとして注目されているくじらハウス。知名度の低さや経験不足から販売に苦しんできたが、粘り強く活路を開いた。今後も活躍が期待される。


株式会社くじらハウス
高知市はりまや町1-5-16 中種米澤ビル3F
TEL088-854-6688
FAX088-854-6689
http://www.kujira-house.com

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