
土佐文旦 発祥の地から全国へ

白木果樹園
生産者自らが売る文旦専門サイト
土佐市宮の内。土佐文旦発祥の地であり、50軒余りの集落で実に40軒程が文旦を栽培している名産地だ。この地で、土佐文旦を中心に約2,000本の果樹類を栽培する白木果樹園。園主である白木浩一さんは3代目となる。全国に約1万名の顧客を持ち、DMとインターネットを使って通信販売を行っている。
現在、検索エンジンで「文旦」と入力すれば、2位前後には表記される白木果樹園。最初にホームページを立ち上げたのが96年というから、始まりはかなり古い。
電話注文でもあればと、興味本位で立ち上げたサイト。顧客管理のために導入したパソコンを使った。もともとパソコン通信に興味があった白木さん。その利用者人口の増加を目の当たりにして、「将来伸びるはずだ」とホームページを開設した。
「2000年くらいまでは、ほとんど売れませんでしたね。でもそういうものかなと」。そう思っていた白木さんを驚かせたのが、「南国土佐ドットコム」(e商人養成塾1期生)の存在だ。「月に100万円売っていると聞いたんです。今でこそ、ネットでモノを売り買いするのが当たり前の時代ですが、当時の100万円といったら、今なら1億は売っているくらいのインパクトだった」。
その後、ネットショップに関する講演や会合に参加し、e商人養成塾へも2期生として入塾。そこで出会ったのが、当時すでに月商500万円というTシャツ専門サイトを運営していたイージーの岸本社長。「まさに目から鱗。2年間でサイトの改良と、全国のネットショップとの共同懸賞企画など、できることはすべてやったと思う。積極的にかかわればかかわるほど、周囲からいろんなきっかけを与えてもらった。塾のメンバー始め、多くの方からいろんな提案ももらった。放っていたらきっと何も動かなかった」。 売れ行きは大きく変わり、生産者自らが売る土佐文旦専門サイトが誕生した。
htmlメールで再購入を促進
白木果樹園の行うプロモーションは、基本的にネットショップ開設以前からの顧客へのDMとメール顧客へのメールマガジンのみ。メルマガは、未購入者に送るテキスト版と、購入者に送るhtml版(文字の修飾や色、画像の貼り付けなどが可能なメール)版があり、購入者のリピート率は高い。
「2〜3年前までは私がすべてやっていましたが、今はメールやサイトづくりについては女性スタッフにまかせています。まだまだできているわけではないが、生産者のこだわりを盛り込みながら、女性や消費者の目線で、買ってみたくなるサイトにしていければと思っています」(白木さん)。
こだわりの加工品も開発
白木果樹園では四季を通じて文旦の出荷が可能だ。春には土佐文旦、夏には夏文旦、秋には水晶文旦、冬には温室土佐文旦。本来、文旦は季節もの。手に入らない時期があって当然だが、「手に入らないからこそ、ネットで探している」と、あえて夏文旦を植え、四季で出荷できる体制を整えた。
また、昨年から青果の販売だけでなく文旦などを使った加工品を開発。「安くてたくさんあるような商品ではなく、マニアックで売れ筋ではなさそうな商品づくり。ネットの強みを生かしてテストマーケティングができるし、お客様の意見も反映しやすい。ネットで売れていることで、いろんなことにチャレンジできるようになった」。
こうした加工品の開発は、他の生産者との協働や地域ぐるみの事業にも発展しようとしている。
白木果樹園
土佐市宮の内435 TEL088-855-1352 FAX088-850-3260
http://www.buntan.com
ここにしかないオリジナルリメイク服を全国へ

遊びや まちだ
実店舗販売からネット販売中心へ
着物のリメイクや古布、柿渋染めなどを使った洋服や小物を製造、販売する遊びや まちだ。素材の質感と着心地の良さ、体にやさしいデザインが受けて、県内外に多くのファンを持つ。高知市鴨部の店舗は和の風合いを生かした個性的な服や小物であふれ、店内片隅のパソコンが全国のファンと店をつないでいる。
1980年、呉服・洋品の店として高知市鴨部で創業。94年頃より現在のような古布(昭和初期以前に作られた生地)を使った洋服や小物の販売を中心とした店となり、00年に高知市本町へ移転。ホームページはその年末に立ち上げた。きっかけは、同店の服が専門誌に紹介された際に県外から注文があったこと。創業者でデザイナーでもある町田美智子社長はピンと来た。「きっとインターネットでも売れる」。娘の町田由美さんがパソコンに明るかったことも後押しとなった。
養成塾への入塾は03年。商品の見せ方や売り方、何より高いものでも売れることを学んだ。そして05年、ネット販売が中心となってきたことから現在の店舗へと移転した。
ユーザー目線のサイトづくり
同店のサイトは、アクセス数は決して多くはないが成約率が高い。「多くがリピーターで、更新を待っている状態。新しい商品を掲載すれば、すぐに反応がある」とネットショップ店長の由美さん。
顧客層は40歳代〜60歳以上。ようやくインターネットに親しみ始めたのではないかという世代だ。個性的な商品だけに、商品選びの段階で電話相談も少なくない。そのため、遊びや まちだのホームページは、利用者が相談しやすいようフリーダイヤルがページの目立つところに数多く表記されている。また商品紹介も文字が大きめで分かりやすい。
「ネットショップとはいえ、実店舗と何ら変わりません。好みや用途、合わせるお洋服をお聞きして、感動していただける商品を提案する。お客さまに親切丁寧な対応を心掛け、店(サイト)の信用度を上げていくことが重要」(町田社長)。衣料品販売一筋に29年。これまでに培った経験が生きている。
ネットも実店舗も商売の基本は同じ
「この道30年。まさか顔の見えないお客様と商売をさせていただくとは・・・。でもこちらから見えないということは、向こうもこちらが見えないということ。それだけに神経も使うし緊張感もある。今では全国にお客さまを持ち、商売の醍醐味も感じている。これからも自然素材にこだわり、若いデザインを取り入れながら着て楽しく自信を持っておすすめできる作品づくりをしていきたい。そして、お客様の『買ってよかった』の一言をはげみにがんばります。」(町田社長)。
ネットであっても対面であっても商売の基本は同じ。客の期待以上の商品を提案し、感動を提供する。そして常に感謝の気持ちを忘れない。「洋服屋」ではなく「遊びや」。モノではなく、歓びを提供するショップであるからこそ、多くの人々に支持されているに違いない。
遊びや まちだ
高知市鴨部895-6 ウィズビル国沢 TEL&FAX088-843-9753
http://www.asobiya.co.jp/
ネットへの進出が生き残りの道を開いた

おもちゃのキャッツアイ
廃業危機からの脱出
「ネットショップをやっていなかったら、廃業していたかもしれない」と話すのは、高知市高須、おもちゃのキャッツアイの西内 功社長。同店は、玩具とジグソーパズルの専門店。特にジグソーパズルは、品揃え、完成品見本展示ともに全国でもトップクラスを誇る。創業は1972年。地域密着型の店づくりで地元住民に愛されてきた。しかし、低迷する景気に加え、大型玩具量販店の出店。地元の玩具店はここ数年でほとんど姿を消してしまった。
インターネットであればチャンスがあるかもしれない。そう考えたのが2003年。パソコンはある。とにかくやるだけやってみようと、産業振興センターを訪ね、4期生としてe商人養成塾に入塾した。「何も分からず、とにかく塾長を信じ、塾の皆さんに助けてもらいながらのスタートだった」(西内社長)。
まず手掛けたのは、品揃えの強みを生かしたジグソーパズルの販売。しかし思うようには売れない。玩具にいたっては、他の大手ショッピングサイトに太刀打ちできるはずもない。そこで、店頭での販売実績もあり、ノウハウも持っている鯉のぼりに絞り込んで販売を開始。これが当たった。ピーク時の6割を切るほど落ち込んでいた売上は、8割程度まで回復。起死回生の一手となった。
店頭と同じ接客
同店で販売されている鯉のぼりは、セットで20万〜50万という高額商品。そのためアクセス即、購入ということはほとんどない。サイトでチェックしていても、何度となく電話で商談となる。長ければ、30分〜40分。「買い直しの利かないお祝い事の商品だけに、お客様も悩んでいる。できるだけお話をうかがって、より良い商品をご提案する。店頭と同じです。実際の店があって、長くやってきたことが今、生きています」(西内社長)。
毎年飾る鯉のぼりだけに、1年後、2年後のメンテナンスも心配。買う方も安ければいいというわけにはいかない。何年たっても相談できる相手から買いたいと思うのが心情だ。電話の先の対応に不満があれば、絶対に買うことはないだろう。
地域に密着した実店舗で、人柄で商売をしてきた西内さん夫婦。商材によっては、サイトの見た目や、肝心の売価以上に、こうした商売の姿勢がネットショップには求められる。
また、平成17年度高知県「頑張る企業」にも認定されている同店は、当時の橋本知事の後ろ盾を最大限に活用し、信用性の高さを効果的にアピールしている。
節句を核にした方向転換
鯉のぼりの販売によって手に入れたのは売り上げだけではない。顧客、メーカーとの信頼関係、そして新たなビジョンだ。現在同店では、来年に向けて鯉のぼりの拡充はもちろん、節句人形の販売についても準備中とのこと。さらに今後は、節句を接点として生まれた顧客との関係を維持していくことで、知育玩具や成長に合わせたおもちゃの提案などにも発展させていく考えだ。
おもちゃのキャッツアイ
高知市高須3丁目28-37 TEL088-861-2455 FAX088-861-2440
http://www.catseye.co.jp/
http://www.koinobori.jp/
「紙を作る」会社から生まれた「包むを創る」サイト

土佐和紙 LadyRisa
せっかくなら売ってみよう
「会社全体から見れば、まだまだ売り上げは小さい。でも、(サイトで)手にしている情報はとても大きいし、会社もそれを求めている」と手応えを見せるLadyRisa店長の大奈路はるみさん。
土佐和紙と紙雑貨のショップLadyRisaは、和紙製品の製造・企画開発を行う株式会社モリサ(土佐市高岡)が運営する工場直営店。ラッピング用の袋やロール紙、リボンなどをウェブ上と工場敷地内の実店舗で販売している。
サイトの立ち上げは2004年。ホームページはそれ以前からあり、購入の問い合わせが入ることもあったという。
「せっかくなら売ってみよう」と大奈路さんが手を挙げた。それからは試行錯誤の連続。e商人養成塾には2005年に6期生として入塾した。
「失敗例も含めて、いろんな事例を事前に学ぶことができるのがe商人のいいところ。本当に勉強になっています」(大奈路さん)。
LadyRisaは、直営店ならではの豊富な品揃えに加え、様々な用途を想定したラッピングを提案。豊かな色調と柔らかな風合いを感じるページデザインで、土佐和紙の魅力が伝わるサイトとなっている。
立ち上げ当初は、便箋やウェディングカードといった雑貨類を購入する個人ユーザーが中心だったが、その専門性と品揃え、土佐和紙の質の高さも評判となり、同じネットショップ事業者や、生花店、酒販店など、まとまった数量の注文も入るようになった。また、一流ホテルや有名菓子店との共同開発という機会にも恵まれた。
こうしたネットを介して舞い込んだチャンスは、運営会社であるモリサにとっても企画力や開発力を高めていくきっかけとなっている。
送受信のアンテナ
「サイトのおかげでお客様と直接つながることができた。声を聞き、意見を参考にまた新たな商品開発に役立てることができる。売れ筋やニーズを知る上で、大きな戦力になっていると思う」(大奈路さん)。
また、サイトでは当然のように紹介されているラッピング例だが、実際の営業用カタログとなると袋や和紙を並べただけのもの。そこで、営業用のカタログでも、包む楽しさや和紙のある豊かな暮らしを提案できる商品であることを表現。LadyRisaのノウハウが生かされた。
「試験的に作った紙でもレスポンスや売れ行きを見ながら調整できるのが、ネットのいいところ。今後は他社では手を出せないような、手間のかかることや量産に向かないようなもの、環境保護を強く意識したものなど、どんどんチャレンジしたい」(大奈路さん)。
エンドユーザーの声を受信し、新たな企業価値を創出、送信するLadyRisa。アンテナショップとして運営会社の指針を示す存在となりつつある。
LadyRisa運営 株式会社 モリサ
土佐市高岡町乙218-1 TEL088-852-1177 FAX088-852-6622
http://www.ladyrisa.com
目指すは、世界で最も質の高いパイン家具づくり

株式会社 RUSTIC TWENTY SEVEN
無垢材のパイン家具を全国へ
オーダーメイドパイン家具などを製造、販売するRUSTIC TWENTY SEVEN。ネットショップのほか、香南市手結山と神奈川県鎌倉市にショールームを持ち、安芸市の自社工場で無垢材のパイン家具製造を行っている。代表取締役の藤田昌也さんは、大学卒業後、大手建材メーカーを経て、実家である安芸市の家具店に入社。その後2002年に独立し、野市町でパイン家具やカントリー調の雑貨などを販売するショップをオープン。同時にネットショップも立ち上げた。
しかし、仕入れた商品を販売する中で、良いものを提供しようとこだわればこだわるほど限界を感じた。国内外の見本市や工房へ足を運んでも、納得できるものには出合えない。「だったら自分で作るしかない」。
そして、実家の家具店の廃業を機に、その建物を工場に無垢材のパイン家具製造を開始。当初から県内ではなく全国展開を目指し、ネットでの販売に専念。e商人養成塾への入塾によって大きく飛躍した。
リアル+バーチャルのコミュニケーション
無垢材を使った本物の家具には、合板では感じることのできない温もりや質感、そして年月を重ねるごとに味わいを増す風合いがある。
しかし、無垢材であるからこそ、表情の違いやひび割れ、反りといった“デメリット”も抱えている。同社では、こうした無垢材のメリットと“デメリット”をサイト上でしっかりと告知し、“デメリット”も含めてその良さであることを伝え、理解を求めている。
さらに「弊社の考える価値観をしっかりと共有しようとするなら、ネットの情報やメールのやり取りだけでは不十分。ネットはあくまで窓口として、電話対応を重視。僕たちはリアルとバーチャルを行き来する。どちらかだけで完結するわけではない」と、顧客との関係性を大切に考えている。
高知から、全国へ、そして世界へ
「ネットがなければ今がないのは事実。でもそれだけでは次のステップには進めない」。必要だったのは実店舗。手結山にショールームを開設したのが2年前。そして今年3月に鎌倉ショールームをオープンさせた。
「まず関東を抑えたかった。人口の多いところ。でも東京ではない。流行に左右される表参道や青山ではだめ。僕らの商品はそういうものではないし、お客様も全然違う」(藤田社長)。
そこで候補となったのが鎌倉。古いものが大切にされ、本物が支持される文化がある。「その商品がどこにあるのかは、非常に重要。東京から見ても魅力的な土地。本物の家具。ブランドを育てていくにはぴったりの場所だった」。
今後は、鎌倉ショールームをベースに、関東圏で顧客を拡大していく考え。さらに藤田社長は、海外進出も視野においている。出店先はロンドン。
「今は、日本のお客さまの厳しい目で、私たちの家具づくりを鍛えていただいている段階。より多くのノウハウや経験を蓄積し、大手も含めて他のメーカーでは真似のできない高品質なパイン家具を世界に発信したい」。
株式会社 RUSTIC TWENTY SEVEN ラスティックトゥエンティーセブン
香南市夜須町手結山1712-12 TEL0887-57-7112 FAX0887-57-7113
http://www.rustic.ne.jp
| 土佐文旦 発祥の地から全国へ/ 白木果樹園 | |
| ここにしかないオリジナルリメイク服を全国へ/遊びや まちだ | |
| ネットへの進出が生き残りの道を開いた/おもちゃのキャッツアイ | |
| 「紙を作る」会社から生まれた「包むを創る」サイト/土佐和紙 LadyRisa | |
| 目指すは、世界で最も質の高いパイン家具づくり/株式会社 RUSTIC TWENTY SEVEN |