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株式会社 山崎技研

先日発表された第20回高知県地場産業大賞で、大賞を受賞したリサイクル硬質樹脂床材「オーパライト」。開発した高知市神田の株式会社山崎技研は、工作機械メーカーとしてその名を全国に知られる企業だ。昭和47年から開始した水産事業部もすでに同社の大きな柱として成長しており、新たなオーパライト事業でさらなる飛躍を見せようとしている。

はじまりは、原動機付き自転車

 山崎技研の前身である山崎内燃機関研究所が誕生したのは、戦争の傷跡も癒えぬ昭和23年。現社長、山崎道生氏の父、故・山崎圭次氏が自力で取得した30数件の特許を持っての船出だった。
 まず産声を上げたのは「ブルーバード」と名付けられた原動機付き自転車。あか抜けたデザインの青く丸いガソリンタンク、燃費の良い4サイクルエンジンが特長で、国内だけでなく東アジアへも数千台が輸出されるヒットとなった。戦後間もない混乱と不安の中、山崎内燃機関製の「ブルーバード」は、まさに青い鳥のように、戦後の荒れ地から颯爽と飛び立って行った。
 同研究所ではその後、自転車用補助エンジンスタイルだけでなくオートバイも次々と発売。しかし、手作りの限界と大消費地から離れた地の利の悪さもあり、大手資本の大量生産に対抗できずオートバイ生産を撤退。昭和32年には新たに船外機を生産するようになっていった。

誰にでも簡単に使いこなせる機械を

 こうしたオートバイや船外機の生産現場で活躍していたのが、現在の山崎技研の礎を築くことになった金属加工のための工作機「フライス盤(万力に固定した金属を、回転しているドリルやミルなどの工具に当てて加工するための機械)」だ。
 同社は昭和36年に最初の工作機械を発売。以来、常に最新技術をその製品に導入し、機能拡大を図る一方で「人にやさしいインターフェース」を追求。誰にでも簡単に使いこなせる高性能な機械づくりを実践し、多くのユーザーを獲得してきた。
 現在同社が開発生産する工作機械は、NC工作機械のYZシリーズ(NCとはNumerical Controlの略で、工作物の位置や運動を数値化して機械に命令すること)。すでに半年先まで受注は決まっており、年内の生産分は完売といった状況だ。
 機能的なレイアウトと、シンプルな操作性、そして高い精度を持つこの機械は、ユーザーの絶大な信頼を得ている。
 「当社のYZシリーズは、丈夫で長持ち、省エネルギーが持ち味の、多品種少量生産の商品。中小企業や、大きな工場の大量生産のための機械が数十台ある中に、1台あればいいという機械なんです」(山崎道生社長)。
 裏を返せば、その1台がなければならないということだ。同社は、200社ともいわれる同様のメーカーの中でもオンリーワンの商品づくりを実践している。
 また、人による操作を可能にする「操作ハンドル」があるのも大きな特徴だ。
 「人がやった方がよい部分は、手を加えることができるようになっています。どんなにコンピュータ制御の技術が進化しても、人が行うハンドル操作の方が迅速に行える場合がある。例えば、気温の変化でわずかに伸縮してしまう機械を微調整していくのは、やはり人間にしかできない作業。コンピュータで制御されている機械だけれども、どこか血の通った温かみのある機械。親しみやすく使いやすい高性能マシン。それが先代から受け継いできた当社の機械づくりなんです」(山崎社長)。

真似のできない技術

 同社では、工作機械の長寿命とテーブルのすべり移動精度を長期間維持するため、昔ながらの手作り工程を採用している。それが「きさげ作業」と呼ばれる工程だ。テーブルのすべり移動精度が保てなければ、その上に固定される材料の固定精度を保つことはできない。スムーズなすべりと精度の維持は、テーブルのすべり面を手作業で細かく削りそぐ作業を施すことで実現できるという。
 「最後の数ミクロンは人間が仕上げて精度を出す。根性の世界です」(山崎社長)。決して目に触れることはないが、テーブルの下部に熟練の匠の技が生きている。これも、他社に真似のできない同社の貴重な財産だ。

土佐湾に魚を!

 同社には機械事業部のほか、水産事業部がある。これは、「環境汚染と魚の穫りすぎで魚が減った、魚を作れ」という圭次氏のツルの一声で始まった事業だ。昭和47年に「浦の内養魚場」を開設し、試行錯誤の末、マダイ、クロダイ、イシガキダイ、ヒラマサ、トラフグ、シマアジ、ヒラメ、クルマエビなど次々と孵化育成に成功。今では親魚の産卵からコントロールし、年間1000万尾以上もの元気な稚魚を育て上げている。
 また、日本の海の衰弱を深刻にとらえ、養魚事業の一方で、育成した稚魚を土佐湾に無償で放流。新しい生命の創造と成長にも力を尽くしている。
 生前、常にエネルギー消費と地球環境の悪化に危機感を抱いていた圭次氏は、自然保護活動にも積極的だった。同社には今もそうした理念が脈々と流れている。そしてその考え方から発展して生まれたのが、このほど地場産業大賞を受賞したリサイクル硬質樹脂床材「オーパライト」ではないだろうか。

環境負荷をほぼゼロにした床材
「オーパライト」

 床材の多くは、使いやすく安価であることからPタイルと呼ばれる塩ビ系のものが使用されている。しかし、リサイクルが困難な上、焼却時のダイオキシン発生などの問題もあり、環境への影響がささやかれている。
 意識の高い企業などでは、セラミックタイルや天然石などに移行する動きもあるが、重量や加工性の難もあり、環境負荷の軽減とはいかない。
 そこで同社は、プラスチック製品の代表格であるポリカーボネートに目をつけ、音楽などの記録に使われているCD、MD、DVDの廃棄品を原料とした床材の開発に着手。「オーパライト」を誕生させた。
 これは、CDなどを粉砕、プレス成型した床用タイルで、原料の94%はリサイクル材。製品自体も将来再利用できるため、環境負荷はほぼゼロとなる。用途は床用だけでなく壁などの装飾用もある。
 現在、土佐山田町の高知テクノパークに建設中の新工場に施工中とのことで、今後は、開発の趣旨や商品コンセプトを理解してもらえるユーザーに導入してもらいたいと山崎社長は話す。まずは億単位のビジネスとするのが目標だ。

 

人に力と優しさを与えてくれる機械づくり、モノづくりが、山崎技研の技術であり歴史である。そしてそれは、他ならぬ健全な自然、地球環境があってこそのものだと、同社の企業風土は教えてくれる。そして、取引先に対しても、地域に対しても、地球環境に対しても、まじめで善良であること。何より企業のあるべき姿なのだと感じさせられる。

株式会社 山崎技研

事業内容:工作機械の販売、魚の種苗生産・販売
代 表 者:代表取締役社長 山崎道生
事 業 所:本社工場/高知市神田2098
       浦の内養魚場/須崎市浦の内出見1147
営 業 所:東京、大阪、名古屋、広島、福岡
URL:http://www.yamasakigiken.co.jp/



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