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木質バイオマスがつくる森林資源の有効活用とCO2削減

ゆすはらペレット株式会社

 待ったなしの地球温暖化対策。CO2削減に向けた化石燃料に変わる新たなエネルギーの開発は、世界的に大きな関心事となっている。風力発電や太陽光発電などを早くから採用している自然エネルギーの先進地・梼原では、新たな脱・化石燃料として木質バイオマスを選択。この4月より、事業が本格的に開始された

環境にやさしい循環型のエネルギー 木質バイオマス
 木質バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)のことで、木材からなるもの。木質バイオマスは石油などの化石燃料とは違い、循環的に利用できるエネルギー源で、二酸化炭素の追加的な派生を抑えることができる地球環境にやさしいエネルギーとして期待されている。
 梼原町のバイオマス事業では、間伐材や端材を利用して作る木質ペレットを冷暖房やボイラーの熱源として利用しようというものだ。ペレット化することで、安定した熱量供給が可能となり、熱量を一定に保つことができる燃料となる。さらに形状が均一なため、保管や輸送等の利便性も向上する。
 事業の中心となるのは、町有施設としてペレット工場を建設した梼原町、ペレットの原材料となる端材等を供給する梼原町森林組合、ペレットおよびペレット利用設備を販売する矢崎総業鰍ナある。さらに、これら3者と町内外からの出資者による共同出資で、ペレット工場を運営管理する第3セクターのゆすはらペレット鰍ェ誕生した。ペレット工場はこの4月から本格稼動を開始している。
森とともに生きる町にふさわしい事業として
 事業のきっかけは、ペレット焚き冷暖房機や木質ペレット製造設備を販売する矢崎総業から、梼原町に木質バイオマス循環モデル事業の提案が行われたことから始まった。森林組合代表理事組合長の中越利茂氏は当時を振り返り、「躊躇なく、前向きに取り組むことを検討した」と話す。林野率91パーセントという梼原町。「山とともに生きなければならない町。山を何とかしなければいけないという思いがある。取り組んであたりまえです」。
 ペレットの原料には、製材の端材のほか、利用の難しい間伐材や端コロといわれる林地残材が使われる。このため、さまざまな形状の残材にも対応できるよう、ペレット工場の設備も整備された。こうして従来は未利用資源として廃棄されるだけのものが、エネルギー源として新たな価値を与えられることになる。ゆすはらペレットでは、山林所有者からこれら林地残材を1トン4000円で買い上げる。森に囲まれた梼原町だからこそ、採算の取れる事業となる。「山主の利益につながることが大切です。間伐事業が進み、ひいては森林保全、持続的な林業経営へと成長することができるからです」と中越組合長は話す。
地産地消が成功の鍵を握る
 4月から稼動を開始したペレット工場。初年度600トン、2年目に1200トン、3年目からは1800トンの生産を予定している。機械設備は粉砕機、乾燥機、成型機からなり、これらの制御は1名で行うことが可能。人件費は極力抑える方向だ。乾燥機に使う燃料は規格外のペレットを利用するなど、効率的なプラントになっている。現在は、原料のスギとヒノキをどのようにブレンドすれば品質維持できるか、試行錯誤しながらの運用だという。
 木質バイオマス事業が今後、発展するためには、やはりペレット利用先の拡大が必須となる。「町内の介護施設で使う冷暖房に利用が決まっているほか、将来的には町の温泉施設『雲の上の温泉』の熱源としても利用する計画です」。また、各家庭で暖房装置としてペレットストーブが普及することも考えられるが、期待するのは大型施設での活用だ。「地産地消してこそ、原料の搬出コストや製品の輸送コストが抑えられてペレットのメリットが発揮できる。やはり市場は県内。梼原から半径100キロメートルを想定しています。環境問題の関心の高さに加え、昨今の原油高は事業の追い風。施設園芸や温泉施設の熱源として、すでに引き合いも来ています」。
 4月以降だけでも、森林組合や行政関係など20団体以上がペレット工場を視察。木質バイオマスに対する関心の高さがうかがえる。梼原町のみならず、日本全国には同様に山林に囲まれた地方がいくつでもある。不振が叫ばれる山林事業再生の糸口を、多くの自治体や関係団体が木質ペレットに探る証だろう。
 地域森林資源の利活用で森の荒廃を防ぎ、地球環境保護にもつながるという木質バイオマス事業。その成否に注目が集まる。

ゆすはらペレット株式会社

高岡郡梼原町広野804番2
TEL:0889‐65‐0121(梼原町森林組合)



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