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国立大学法人 高知大学 副学長
国際・地域連携センター長

受田 浩之さん(49歳)

 地域を敬い、人を愛す。地域発展のために…とは、高知大学国際・地域連携センターが掲げるミッション。そのトップとして自ら陣頭に立ち、時に研究者として、時に産学官民連携の「顔」として八面六臂の活躍をする受田浩之センター長。
 来高以来、徹底して高知の食材の可能性を研究。やがてそのフィールドは研究室から飛び出し、食品で産業振興を実現する地域活性化のキーマンとして知られるように。
 2年目を迎えた土佐FBC(フードビジネスクリエイター)人材創出事業の企画運営委員長でもあり、いよいよ実行段階に入った県産業振興計画では、策定委員長としての重責を担っている。

今や産学官連携の「顔」ですが、専門的にはどんな研究を?
 今思えば、平成16年頃の高知県工業技術センターの森山さんとの研究が大きい。キャリアアップのために我々の研究室に入られたんですが、本人の希望もあって非常に多くの県産食材を集めて、その機能をどんどん解析していった。否応なしに高知県のものを知ることになったし、可能性を見出すことにもなった。碁石茶や桜茶と出合ったのもこの頃。
 特に碁石茶では、高知大学農学部・医学部、県工技センター、茶業試験場、大豊町、生産者がスクラムを組んで科学的な分析と地域活性化に取り組みました。
 結果、製造ノウハウは確立され、抗酸化能や動脈硬化の改善、予防などの医学的な付加価値も解明された。産地としても、地域活性化の起爆剤として結果を生み出しつつあります。
 これは、過疎や高齢化に悩む中山間地域の産業振興の成功事例。産学官が知恵を出し合うことで大きなことができる、そういう自信になりました。
地産地消地検というものを提唱されていますね。
 碁石茶や桜茶がその好例。医農連携で付加価値を高めていく。地域の食材を地域の方が消費して、健康維持増進に実際に役立っているというエビデンス(根拠)。これこそがブランド。食材の可能性を見出すだけでなく、地域住民や高齢者の方などの被験者を立て、実際に食材を提供して客観的な検証をした上で機能的な根拠を解明する。地産地消地検のパッケージ化。
 平成17年に立ち上げた南国市や現在の香美市、県内食品産業の方との連携組織、その後を引き継いだ県食料産業クラスター協議会の活動の中で、継続的に取り組んでいます。地域住民の健康への貢献と、農業をはじめとする一次産業や食品など地元企業の活性化が目標です。
県の産業振興計画策定にも関わられていますね。
 連携活動について尾崎(たつさき)知事に報告する機会があり、県食品産業の可能性について申し上げた。
 県の平成17年度農業産出額は全国32位の991億。一方、食品加工業の生産額は46位の652億円。農業産出額に対して、食品加工業の生産額が2・5倍というのが全国的な平均。1倍を切る県は本県を含めて5県しかなく、どこも経済的な不安を抱えている。また、本県と同レベルの農業産出額を有する他県と比較しても、高知県の食品産業は今の2倍以上の生産額があって当然。
 高知県の場合、園芸連などの系統共販によって生鮮で勝負してきたために加工が発展しなかった。しかし、産地間の競争や海外からの安い農産物の輸入などによって、生鮮もかなり苦戦している。一次産業が盛んな地域に食品産業があれば、輸送コストも抑えられるし、連携によって地域も活性化される。高知県の”のびしろ“は、ここにあるのではないかと。
昨年からは土佐FBC(フードビジネスクリエイター)人材創出事業も始まりました。
 一次産業、食品産業の振興と言ってみても、それを担う人材なしには実現できません。「地域の大学」として何ができるか。その答えの一つがこの事業。
 食品製造加工、マネージメント、品質管理、食品機能に関する座学と、実験技術、現場実践学、最終的にはOJTとしての課題研究も用意されます。1年と2年のコースがあり、生産者や食品会社の製造担当者、経営者など、目的に応じた能力を身につけていただきます。
講師陣もすごい。
 客観的に見て、ありえない講師陣。全国で活躍されている各分野のエキスパートにご協力いただくことができました。今受けられる最高レベルの生きた講義を実現しています。  
初年度を終えての手ごたえは?
 想像以上の成果。メンバーもすばらしかったと思いますが、志の高い人たちが31人も集まって百数十時間もの時間を共有することで、たった一年で新たな連携や商品開発、組織作りにまで発展してきました。それだけビジネスの根幹に関わる人材として活躍を始めたということでしょう。
 また、1年コースの受講者が、2年コースへと進みたいという人も出てきた。3年間で80人育て上げるというのがミッションですが、おそらく100人は見込める。彼らがネットワークを形成し、次の世代を育てていく。これが高知県における歴史の転換点になるとも見ています。
 5年間という限られた事業ですが、いずれ受益者負担の独立したプロジェクトにできるかもしれない。きっとその時にはもう高知は変わっているはず。2年目以降も期待してください。
【掲載日:2009年4月27日】

受田浩之(うけだ・ひろゆき)

 

〈略歴〉
昭和35年3月 福岡県生まれ
昭和57年3月 九州大学農学部食糧化学工学科卒業
昭和59年3月 同大大学院農学研究科修了 
昭和61年7月 同大大学院農学研究科博士課程中退 
昭和61年8月 同大農学部助手(平成3〜4年 ドイツ国立バイオテクノロジー研究所(GBF)客員研究員)
平成4年4月 高知大学助教授着任
平成16年12月 同大教授
平成17年7月 同大国際・地域連携センター長
平成18年4月 高知大学副学長兼務

◆高知県産業振興計画検討委員会委員長、地産外商推進協議会会長、日本農芸化学会評議員、日本機能性食品医用学会評議員など
◆日本食品科学工学会奨励賞、日本分析化学会フローインジェクション分析研究懇談会進歩賞及び学術賞受賞。



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