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 8月19日、「地域でできる高知らしいCSR活動を考えるセミナー」がNPO法人こうち企業支援センターの主催で行われた。
 CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」と訳される。企業には経済活動だけでなく、環境への配慮や社会的な公正にも責任があるという考え方だ。自社や子会社の従業員、取引先、地域社会といった利害関係者(ステークホルダー)に対して責任ある行動をとるとともに、積極的な情報開示が求められており、これまでは大企業を中心に進められてきた。
 しかし、昨今の食品偽装や違法派遣など、企業の不祥事が相次ぐ中、全国の中小企業にもCSRの考え方が急速に広がりつつある。同センターでは、企業が求められる社会的責任を果たしながら、さらに「CSRを経営戦略やマーケティングの視点で捉え、競争力向上や価値創造につなげてほしい」(中越伸一理事長)と、県内企業のCSRを積極的に支援している。
 セミナーでは、ダイバーシティ研究所(大阪市)代表の田村太郎氏による講演や県内企業6社による事例発表(7〜9面で紹介)、ディスカッションなどが行われ、参加企業(者)のCSRへの意識向上や情報交換の機会となった。
 またこのセミナーは、「市民が選ぶCSR大賞 CANPAN第2回CSRプラス大賞」(日本財団主催)の地域推薦枠ノミネート企業の選考も兼ねており、当日のセミナー参加者による投票の結果、6社の中から宮地電機が選ばれた。9月末までに全国2万人によるウェブ投票が行われ、現在(10月15日時点)集計中(最新情報はhttp://blog.canpan.info/csraward_2008/)。

「三方良し」に学ぶ

 「CSRプラス大賞」において指針とされているのが、近江商人が商いの理念としていた「三方良し(世間良し・売り手良し・買い手良し)」の考え方。
 「世間良し」では、寄付やボランティア休暇制度の導入などの社会貢献、環境保全への取り組み・研究開発などをチェック。「売り手良し」では、人権に関すること、育児や介護の休暇制度、雇用の多様性、若年や中高年の再チャレンジ支援などをチェック。「買い手良し」では、消費者への安全に関する情報や顧客からの苦情についての情報開示、コンプライアンス、個人情報保護などをチェック。これら全48項目のチェックに加え、独自性の高い取り組みについては、レポートを添える。
 信用を第一としていた近江商人にとって、「三方良し」は普遍的な経営精神だった。「三方良し」でなければ、商いが続かないことを知っていたからだ。
 現代の企業はどうだろう。事業活動を通じた社会貢献を理念とする企業は多いが、実業とは伴わない場合も少なくない。まずは儲け重視で、後で帳尻合わせの貢献を考える、では「三方良し」ではない。事業のどこを切っても「三方良し」であること。それが社会と共生できる企業であることを、江戸時代の近江商人から学ぶことができる。

CSR推進のための3つのポイント

 ダイバーシティ研究所の田村氏が強調するCSR推進のためのポイントは3つ。
 まず、「CSRは社会貢献活動ではなく、本業そのもののプロセスを変えていくものである」ということ。本業の利益の一部を還元する社会貢献活動に対し、CSRは企業活動のすべてのプロセスに環境や社会的公正の配慮を組み込むことで、事業の活性化と同時に、社会に活力と持続性を与えていくというもの。イコールではない。
 次に、「大企業だけが求められる時代ではなくなってきた」ということ。社会的責任である以上、地方の中小企業にも当然のごとくCSRは求められる。逆に積極的に取り組むことで強みにもできるし、中小企業だからこそすぐにできることもある。
 3つ目が、「一企業という『点』ではなく、地域の多様な担い手とともに『面』でCSRに取り組むことが、自社だけでなく地域の成功につながる」ということ。地元企業と地域社会が共存共栄するためには、企業やNPO、行政などの連携が欠かせない。それこそが持続可能な地域づくりにつながっていく。

CSRがビジネスチャンス開く

 CSRは単に社会の要請であるだけでなく、不祥事を回避する健全経営、顧客のブランドロイヤリティの強化、従業員のワークライフバランスや流動化する労働市場での優位性確保、社会的責任投資(SRI)対策など、企業に及ぼす効果は計り知れない。
 戦略的にCSRを捉えることで、グッドカンパニーとなるだけでなく、強い企業になるチャンスでもある。社会の抱える問題に向き合い、その解決がそのままビジネスとなる場合もある。従業員の誇りや働く喜びは、自社のみならず取引企業や地域にも活力を与えるものだ。
 一企業ではなく、多くの県内企業が、NPOが、行政が「面」となって取り組むことができれば、その先に待っているのは、持続可能な地域社会であり、その一員として共存共栄する”あなたの企業“かもしれない。

CSR情報の発信基地  企業のCSRを応援する日本初の公式ウェブサイト
CANPAN CSRプラス

 今や世界に誇れるレベルとなった日本企業のCSR活動。その実情を広く知ってもらうために「真剣にCSRに取り組む企業を応援する」サイトとして日本財団が開設・運営するコミュニティサイト。投資家や学生などに対し、企業評価の新たな指針として役立ててもらえるよう、積極的な情報発信を行っている。

 

Presentation Report
「わが社のCSR紹介」プレゼンテーションレポート
顧客創造につながるCSR活動 【株式会社サニーマート】
相愛らしさで地域に貢献 【株式会社 相愛】
人材育成のためのCSR 【株式会社フタガミ】
地域に根差し、地域に還元 【ニッポン高度紙工業株式会社】
「三方良し」のCSR活動 【ミタニ建設工業株式会社】
CSRが企業力を高め、ビジネスチャンスを開く 【宮地電機株式会社】

 



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