高知エコ産業大賞の受賞企業が今年も発表された。この賞は、環境に配慮した製品やサービスの普及を図ることを目的に、高知エコデザイン協議会が2002年から行っているもの。技術面や発想における新規性や、消費者ニーズに対応した商品の工夫・販売活動を行っているか、そして県活性化に向けた波及効果が見込まれるかといった点に着目して審査される。今回大賞を受賞したのは、株式会社相愛とNPO法人 土佐の森・救援隊の2団体。ともに新たな森林ビジネスの可能性を拓こうとする取り組みであることから、「新しい森林ビジネスへの挑戦」として、それぞれの活動が表彰された。その他、優秀賞に株式会社テレビ高知、技術賞に山伸工業株式会社、アイデア賞に高知酒造株式会社、特別賞に高知東工業高等学校 自動車工作部が選ばれた。

 

 

【大賞】

木質ペレット焚ヒーティングバーナー
木燃(もくねん)MN-12F

株式会社 相愛

 ハウスの加温のために大量の重油を燃焼させる県内の施設園芸。それによって排出されるCO2は、県全体の排出量の約5%にも相当するといわれる。一方で、高知県の山林は手入れが行き届かず荒廃が進み、農家はCO2を排出しながらその要因でもある重油の価格高騰で苦境に立っている。
 三重苦とも言えるこうした状況に活路を開いたのが、株式会社相愛の開発したハウス加温装置「木燃MN-12F」。燃料を木質バイオマス燃料(木質ペレット)に代替し、重油並みの加温効果で燃料費とCO2排出量を大幅に削減。既存の重油ボイラーのバーナー部分と燃料供給系統のみを交換するだけで、使用中のボイラー(熱交換器)をそのまま使えるため、低コストでの導入も可能にした。ペレットの需要が拡大すれば、木材消費や森林保全にもつながる。
 すでに県内で8件、県外で1件が導入され、中でも芸西村の農事組合法人 高知バイオマスファームの木質バイオマスによる低炭素農業への取り組みは、昨年、環境省の進める「自主参加型国内排出量取引制度」に採択。さらに今年、都道府県地球温暖化防止活動推進センターなどが主催する「ストップ温暖化『一村一品』大作戦」で銀賞を受賞した。

 

株式会社 相愛
高知市重倉266-2
TEL088-846-6700  http://www.soai-net.co.jp/

 

 

【大賞】

森林保全活動を地域経済及び山村の再生につなげる
「地域循環システム」の構築

NPO法人 土佐の森・救援隊

 いの町の協働の森(三井物産などが締結)を拠点に、地域住民や高知市など他の地域のボランティアらと森林保全活動を行う土佐の森・救援隊。大型機械は使わず、ウインチ付きの小型運搬車や小型トラックなどを駆使し、手作業による小規模な間伐、収集、運搬を行っている。収集した木材は、品質の良いものを市場へ、品質の低いものは、仁淀川町にある木質バイオマス発電施設へと販売。間伐から販売(熱源利用)までをシステム化。低投資で運用可能、かつ作業中のCO2排出量も少ない小規模収集運搬システムを構築している。
 また、同救援隊に入る森林整備委託費や木材販売収入は、活動の参加者に「モリ(森)券」と呼ばれる地域通貨券として作業量に応じて分配される。券は地元商店街で利用できるため、アルバイト感覚で参加できる上、地域経済の活性化にも貢献している。
 森林保全活動が地域経済の支えとなり、やがては山村の再生へとつながっていく同救援隊の「地域循環システム」。森林県高知の未来を拓く成功事例だ。

 

NPO法人 土佐の森・救援隊
吾川郡いの町天王北4-6-4
e-mail:npo_tosanomori2@yahoo.co.jp
http://mori100s.exblog.jp/

 

 

【優秀賞】

番組「がんばれ高知!!eco応援団」

株式会社 テレビ高知

 平成14年から毎週日曜日10時55分〜11時15分に放送している「がんばれ高知!!eco応援団」。地球環境を守るためには、国や自治体などの大きな取り組みではなく、家庭や地域での小さな取り組みの積み重ねが重要との考えから番組を企画。県内で行われている地産地消や森林保全、食の安全、ゴミのリサイクル、省エネ、里山里海保全など、身近な環境への取り組みや、地域性の高い活動を県民の目線でわかりやすく発信している。
 放送回数は300回(平成20年9月7日)を超え、視聴者が「地域」や「高知県」「地球」の環境について考え、自主的な活動へのきっかけづくりとなるだけでなく、活動に携わる人々の大きな励みにもなっている。
 また夕方のニュース枠では、幼稚園、小学校、中学校などで子どもたちが取り組むエコ活動を紹介する「エコキッズ」を放送。併せて県内の環境意識の向上に大きく貢献している。

 

株式会社 テレビ高知
高知市北本町3丁目4-27
TEL088-880-8111 http://www.kutv.co.jp/

 

 

【技術賞】

土留部材引抜同時充填注入工法

山伸工業株式会社

 仮設工事の際、土留めとして土中に埋め込まれる鋼矢板(こうやいた)。使用後は引き抜く必要があるが、それによって発生する空洞がクラックや沈下を起こし、周囲の構造物や埋設物に影響を与えてしまう。そのため、対応策としてあえて回収せずに放置(埋め殺し)されているのが現状だ。これは、鉄資源の無駄であるばかりか、再掘削や将来的な建設工事の障害となる場合がある。土壌への影響も無視できない。
 そこで山伸工業株式会社では、鋼矢板を引き抜く際、空洞が発生すると同時に事前に鋼矢板に取り付けておいた注入管の先端より固化剤を充填する工法を確立。これにより周辺の構造物などが土砂の移動による地盤変位の影響を受けることなく鋼矢板を回収することが可能となった。使用する固化剤も無公害のものであるため、環境に負荷を与えない。回収した鋼矢板は、複数回のリユースの後、製鉄所で100%リサイクルされる。
 引き抜きに要する施工費は、埋設する鋼材のコストを大きく下回り、工事費を大幅に削減。さらに、施工での雇用も創出される。また、埋設消費しないことで新たな鋼矢板の精製を抑えられるため、大量のCO2削減にもつながっている。その経済性と環境性、社会的意義に多くの大手ゼネコンが注目しており、今後全国への普及が見込まれる工法だ。
 平成18、19年度中四国農政局新技術・新工法に登録、平成21年3月には国土交通省の新技術提供システム(NETIS)にも登録されている。

 

山伸工業株式会社
高知市五台山4869-3
TEL088-884-4585 http://www.yamashin-kogyo.co.jp/

 

 

【アイデア賞】

高知発 ハッピートマトのお酒

高知酒造株式会社

 「高知発ハッピートマトのお酒」は、高知県中小企業家同友会、高知エコデザイン協議会の有志らでつくる「高知らしい食品研究会」から生まれた第1弾の商品だ。
 ハッピーファーム有限会社(安芸市)が栽培する高糖度トマト「ハッピートマト」の規格外品を使い、高知酒造が中心となり試行錯誤の上、完成させた。果汁25%、アルコール分8%の飲み口の良い仕上がりで、トマトの糖度と酸味を生かしたさわやかな風味が特徴。地酒と一次産品の組み合わせは、新しい日本酒の魅力を提案するとともに、県産品の付加価値を十分に訴求している。
 同社のインターネット販売のほか、ホテル日航高知旭ロイヤル、高知新阪急ホテル、酒販店などで販売。好調な売れ行きを見せている。

 

高知酒造株式会社
吾川郡いの町勝賀瀬780-2
TEL088-897-0314 http://www.kochi-sake.com/

 

 

【特別賞】

低燃費・省電力カーの研究

高知県立高知東工業高等学校 自動車工作部

 低燃費の自動車や省電力カーを製作し、その性能を競う全国大会で着実に成績を上げてきている高知東工業高校自動車工作部。
 栃木県の“ツインリンクもてぎ”サーキットで開催される低燃費競技の「エコラン」や、大阪・万博記念公園で開催される省電力を競う「エコデン」に、毎回参加。改良を重ねて結果に結び付けてきた。
 こうした競技に向けた実践的なものづくりは、生徒らの困難に立ち向かう精神力や忍耐力を養い、協調性、探求心を高めている。
 環境先進県を目指す高知県において、こうした環境問題解決に対する意識の高い学生たちが、高知県の未来を築く貴重な“人財”となってくれることが期待されている。

 

高知県立高知東工業高等学校 自動車工作部
南国市篠原1590
TEL088-863-2188

 



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