高知県地場産業大賞は、昭和59年に開催された「くろしお博覧会」余剰金をもとに、昭和60年度に基金(1・2億円)を造成し、その運用益を基に昭和61年から毎年、優秀な県内企業の製品や県地場産業振興に貢献した活動を表彰している。今回は応募総数22件を審査委員会が審査。大賞(副賞50万円)が1件と地場産業賞(同10万円)が5件、地場産業奨励賞5件が選ばれた。

 

 

木造住宅キット「れいほくスケルトン」

地場産業大賞を受賞したのは、嶺北材ブランド化協議会が商品化した木造住宅キット「れいほくスケルトン」。平成19年から販売を開始し、21 年3月現在で55棟を受注。1月の受賞発表後、問い合わせが増加しており、さらなる受注が見込まれる。

 

 「れいほくスケルトン」は、嶺北産の規格材を産地でプレカットし、構造材として建設現場へ直送するというもの。現場で組み上げていくだけで、在来工法の木造建築が可能となる。施工する工務店は、高い木造技術や煩雑な工程を必要とせず、工期が短縮できる上、コストの削減にもなる。販売するのは骨組みのみで、間取りや内外装は施主や工務店、設計士が自由に行えるため、オリジナリティーも追求できる。骨組み重視で構造的に安定しており、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて増改築も容易だ。
  「外材や集成材ではなく、嶺北の無垢の木材で住宅を建ててもらいたいという思いから、まず、使いやすく木材価格の見える規格材を作った。しかし、町ではいい大工さんもいないし、刻む場所もない。実際の現場は、プレカットされた外材や集成材を組み立てるだけ。だったら、産地でそこまでやってやろうと。そこでスケルトン(構造を売る)という発想が生まれた」(田岡秀昭会長)。

 

 同協議会では、パンフレットやホームページ、消費者向けDVDなどのツール制作に加え、県外の工務店や設計士を対象としたセミナーを積極的に開催。「コープ自然派」を通じて全国展開を図っている。
  また、高知県設計監理士協会の協力を得て、県内の建築家らと41種のモデルプランも製作。15坪から40坪まで様々なプランが提案されており、それらすべてで木材価格を明記している。基本構造の30坪(約100平方メートル)で約100万円。規格材を使用しているため木材代は安価で明瞭。材料費のみとはいえ、「国産材は高い」というイメージを払しょくするものだ。
  規格材は、環境にやさしい森林経営が認められたSGEC認証の木材で、構造性能についても県森林技術センターにおいて計測を繰り返し、その強度を確認。安全・安心な構造体であることを実証している。

 

 「木を使うことが、森を守ることにつながっていることを知ってほしい」と田岡会長は言う。木を植え、育つまで数十年。森で人が暮らせなくなれば、森は守れない。林業従事者は減少し、森を守る仕組みは失われつつある。木を切って使うという経済の循環が必要だ。「集成材やバイオマスのような素材として使われることも重要だが、最も価格を形成するのは無垢の木の家。経済の循環が取り戻せれば、森の循環も取り戻せる。日本人がもう一度、日本の木を使った家づくりに戻らなければ、日本の森は守れない。れいほくスケルトンが、そのきっかけになればうれしい」。
  同協議会では、工務店や設計士主催の産地見学会をサポートするなど、木や自然のすばらしさ、自らの住まいのルーツである嶺北地域を知ってもらうことで、山と町、山と消費者をつないでいく考えだ。
  産地が素材のまま売るのではなく、消費者や施工側の動向を汲み取り、踏み込んだ提案をすることで木造住宅の新たな需要を生み出したれいほくスケルトン。その取り組みは、嶺北の森に経済循環の可能性を拓き、地域の活性化にも貢献している。また、林業・木材業界全体の事業モデルとしての可能性も高く評価された。

 

嶺北材ブランド化協議会
嶺北木材協同組合、レイホク木材工業協同組合、森昭木材株式会社、中江産業株式会社
長岡郡本山町寺家80-1(嶺北木材協同組合)
TEL.0887-82-1237 http://www.reihoku-skeleton.com/

高知県地域資源活用「ペットフード」

 食品添加物への不信や偽装事件も相継ぐ中、ペットフードに対しても国産志向、安心・安全志向は高まりを見せており、同社ではこうした業界の要望に応えるため、県内食品メーカーと共同で高知県の地域資源を活用した10品目のペットフードを開発・販売している。
 製品は、(株)けんかまのちくわや蒲鉾、渋谷食品(株)のさつまいもの加工品、高知食鶏加工(株)の四万十鶏ササミ、(有)吉永鰹節店のソウダカツオ、(有)野村煎豆加工店のミレービスケットなど地元企業の製品・技術をベースに、食物繊維が豊富なおからやさつま芋の皮を練り込み、ペットの志向性を高めるため焼き鶏ガラスープをブレンドするなどの工夫を加えた。これにより高タンパク質・低カロリーでペットの健康に配慮した、安心・安全なペットフードに仕上がっている。
 同社の「もったいない!を美味しく」をテーマにしたものづくりから生まれたペットフード。地域資源の活用であり、芋の皮やおからといった食品廃棄物の有効利用でもある。さらに同団地事業組合の焼き鶏ガラスープも商品力につながっている。平成19年の販売開始以降、売上は好調で海外へも販路が拡大しつつある。

 

株式会社 アミノエース
高知市大津乙1738-3(高知県食品工業団地内)
TEL.088-866-3010 http://www.aminoace.com/

日本で唯一「本場の本物」大豊の碁石茶による地域の産業再生

 「幻の珍茶、大豊の碁石茶を町の特産品に」との思いで、平成17年、生産農家らが生産組合を設立。産学官が連携し、碁石茶の品質の高位平準化と機能性や薬理効果について科学的な分析を進めてきた。これにより製造に関するノウハウが確立・共有され、さらに効能についての裏付けも得ることとなった。現在7戸の農家と1法人が、無農薬によるお茶栽培と伝統製法による碁石茶づくりを行っている。一度は消えかけた碁石茶の伝統は守られ、品質の向上と生産量の拡大を実現した。
 こうした取り組みと碁石茶の持つ伝統性や質の高さ、効能的な価値が認められ、農林水産省の外部団体が認定する地域ブランド表示基準制度の「本場の本物」に認定。同組合では統一したブランドイメージの確立や類似品との差別化を目指してパッケージを一新。併せて大手健康食品会社との提携によって全国へと展開し、販売額は大幅に伸びている。
 同組合を中心とした産学官の連携によって、碁石茶は地域の産業へと発展し、外貨を獲得するだけでなく、新たな雇用も生み出すなど地域の活性化にもつながっている。

 

大豊町碁石茶生産組合
長岡郡大豊町黒石343-1(大豊町農業センター)
TEL.0887-73-0978 http://www.town.otoyo.kochi.jp/

OSNETパケット通信機NetMAIL-1

 防災関連計測機器の開発、販売、レンタル、またそれらを活用した遠隔観測・監視システムの提案を行う株式会社オサシ・テクノス。地すべり地帯や土石流の危険性がある建設現場や復旧工事現場などの雨量、水位、地面の動きを計測し、災害を未然に防止。被害を最小限にとどめるためのシステムを提供している。
 地場産業賞を受賞したOSNETパケット通信機 NetMAIL-1は、現場に設置された同社の計測器が警戒値を超えると警報をメールで送信するための機器。警報メールには、現場名・地点名・機器名・警報発報時間・測定値などが付加され、状況を細かく把握することができる。警報メールに空返信すれば、発報後の現在値の確認も可能だ。また、接続されている計測器のデータを一定の間隔で回収・送信し、専用ソフトにより自動開封・保存・グラフ化する自動観測機能なども搭載。
 今回、通信機を自社開発したことで、すべて自社製品によるシステム構築が可能となり、通信機能の高度化や低コスト化にもつながった。ソーラー電源で使用が可能で、電源のない場所でも安価にシステムが構築でき、これまで設置できなかった場所への設置も期待されている。

 

株式会社 オサシ・テクノス
高知市本宮町65-3(高知ソフトウェア団地)
TEL.088-850-0535 http://www.osasi.co.jp/

木質ペレット焚ヒーティングバーナー 木燃(もくねん)MN-12F

 全国一の森林率を誇る高知県は、循環型エネルギーである木質バイオマス燃料の宝庫でもある。株式会社相愛はここに着目。重油の替わりに木質ペレットを燃焼させるビニールハウス加温装置を開発した。
 装置は、バーナーとペレット貯蔵用タンクなどで構成されており、既存の重油ボイラーのバーナー部分と燃料供給系統のみを交換。使用中のボイラー(熱交換器)をそのまま使えるため、農家にとっては少ない初期投資で導入できる。重油並みの加温効果で、燃料費とCO2排出量は大幅に削減することが可能だ。
 同社では、「木燃」を核にした「エネルギーの地産地消」を推進し、環境問題への貢献のみならず、県内の農業と林業の活性化、ひいては循環型社会を構築することで、県経済浮揚への貢献を目指している。
 循環型社会における園芸農業にマッチした製品であり、バーナーの普及により木質ペレットの需要が拡大すれば、木材消費や森林保全にもつながる。こうした社会的な意義も高く評価された。3月に発表された第8回高知エコ産業大賞では、大賞にも選ばれている。

 

株式会社 相愛
高知市重倉266-2
TEL.088-846-6700 http://www.soai-net.co.jp/

塩けんぴ(室戸海洋深層水仕込み細切り塩けんぴ)

 県内では屋号である水車亭(みずぐるまや)としても知られる株式会社南国製菓。自然素材にこだわった素朴な味わいの芋菓子やポップコーン、玄米パットライスなどを製造し、県内だけでなく全国に販路を持つ。
 地場産業賞を受賞したのは、同社の主力商品である芋けんぴの中でも、特に人気のある室戸海洋深層水を使用した「塩けんぴ」。食べやすい細切りカットで、同社の伝統製法を生かしつつ、室戸海洋深層水の塩の旨味を引き立たせた。塩の旨味とさつま芋の甘みのバランスがほどよい甘辛味で、外はパリッと中は柔らか風味の新食感となっている。甘いものが苦手でも食べやすく、塩の旨味が後を引く、くせになる味わいだ。
 全国の雑誌などにも取り上げられ、売上は好調。PR展開や販売戦略も効果的で、さらなる販路拡大が期待される商品となっている。
 また、芋けんぴの全国展開は高知県伝統のお菓子づくりの育成継承に貢献するだけでなく、雇用拡大にもつながっており、地域に大きな経済効果をもたらしている。

 

株式会社南国製菓
高岡郡四万十町見付1132-1
TEL.0880-22-0511 http://www.nangokuseika.com/
●水車亭(みずぐるまや)
高岡郡四万十町古市町9-30
TEL.0880-22-3456

生搾りどくだみ青汁酒「十黒梅(じゅっこくばい)」

 株式会社食援隊が開発し、インターネットを中心に販売している生搾りどくだみ青汁酒「十黒梅」。ドクダミの生葉を搾った青汁に、沖縄産の黒糖・紀州産の梅肉エキスのみを加え、水を加えず搾り汁そのものを醗酵させて醸造。濃厚な口当たりながら、梅の酸味がアクセントとなって飲みやすく、黒糖のコクのある味わいが口に広がる。
 販売開始から1年半で定期購入者は急増。さらには、黒潮町の耕作放棄地において1.3ヘクタールをドクダミ栽培地として確保し、農家16戸でどくだみ生産組合も設立。
 素材や効能にこだわった開発力と情報発信力で、消費者との強い信頼関係を構築している点や、新たな一次産業を創出している点が高く評価された。

 

株式会社 食援隊
高知市瀬戸南町2-9-28
TEL.088-854-5505 http://shokuentai.com/

エネトレ(自転車用人力発電機)

 小型風力発電機、特殊精密コイル製造・販売のスカイ電子が開発した自転車用人力発電機エネトレ。自転車をエネトレに固定し、人力で自転車をこぐことで電力を出力する。
 従来の人力発電では電圧や周波数がこぎ方によって変動するため、家庭用電化製品に直接使用することは困難だった。そこで同社は、風力発電機の研究開発で培った技術を生かしてエネトレを開発。さらに、高知工科大学の八田教授の協力を得て新開発した定電圧インバーター回路(オプション)に接続することで、100V電源の安定供給を可能にした。
 人力発電で通常の電化製品を作動させることができるエネトレは、災害時や非常時の独立電源として利用できるほか、エネルギー環境教育教材としても高い評価を得ている。現在、専用の蓄電システムを開発中で、実現すれば家庭用などさらに用途は広がる。

 

株式会社 スカイ電子
高岡郡四万十町香月が丘4-7
TEL.0880-22-3993 http://sky-denshi.co.jp/

はちきんみそ(鰹みそ・柚みそ・鶏みそ)

 だるま味噌株式会社が製造・販売する地場産品を活用した「はちきんみそ」(鰹みそ・鶏みそ・柚みそ)。化学調味料は一切使用せず、同社の昔ながらの製法の味噌に、高知食鶏加工(株)が開発した「土佐はちきん地鶏」の焼鶏ガラスープをだしとして加え、より味わい深いものに仕上げた。「鰹みそ」は、宇佐の鰹節製造企業から仕入れる「東沖のトロ鰹」の生節、「鶏みそ」は、県産「四万十鶏」のミンチ、「柚みそ」は、馬路村農協から仕入れる柚子を皮ごと煮詰めたものを使用している。
 首都圏の大手百貨店・スーパーでの試験販売や県内のホテル、飲食店の業務利用などを中心に販路を順調に拡大。それぞれの食べ方レシピも考案し、ツールとして消費者に提案している。

 

だるま味噌株式会社
高知市大津乙1910-11
TEL.088-866-3138

シイラを原材料とした魚肉練り製品

 土佐蒲鉾が開発した全国的にも珍しいシイラを原材料とした練り製品。本来主原料となるスケトウダラの漁価の高騰を受け、原料価格の安価な県内産シイラの練り製品を開発に着手。鮮度保持や熱の加え方などの技術開発により、シイラのみを使用した練り製品を商品化することに成功した。
 天日塩や昆布だしなどで味付けし、化学調味料などの添加物は一切使用していない。味はスケトウダラ製品と比べても遜色はなく、原料基準価格はスケトウダラ700円/kgより安い、350円/kgと低減。業界全体でもスケトウダラの確保は課題となっており、代替原料として成長が見込める上、県内で多く水揚げされるシイラの中でも利用価値の低い小型のシイラを活用できることから、漁価の底上げや漁業振興への貢献が期待されている。

 

株式会社 土佐蒲鉾
高知市長浜5397
TEL.088-842-5000

リキュール 美丈夫ゆず、ぽんかん

 日本酒の苦戦が続く中、浜川商店ではこれまでにない柚子やぽんかんをベースにしたリキュールを開発。原材料には、リキュールに必要な甘みとして蜂蜜だけを使用し、果汁は、北川村産と土佐山産の柚子と室戸市吉良川産のぽんかんを使用している。酸味が強い柚子は日本酒と合わせ、甘みが強いぽんかんは焼酎と合わせた。いずれも蜂蜜の自然な甘さとふんだんに使った果汁と酒がうまく調和した低アルコールで非常に飲みやすい味に仕上がっている。
 平成19年の発売直後から、両商品とも予想以上の高評価を得て、在庫の問い合わせや増産の要望が相次ぎ、平成20年4月から現在までに約一万七千本を販売。
 高知県産の地域資源を活用しながら、新たな日本酒ファンの獲得にもつながっており、その人気は今後も拡大傾向にある。

 

有限会社 浜川商店
安芸郡田野町2150
TEL.0887-38-2004

 



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