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 見出しは10文字以内でつけるのが良いとされています。これ以上長くなると、一目見ただけで読み取ることが出来なくなるからです。ただのは大変なことです。


例えば、いま大リーグで活躍しているダルビッシュ投手。新聞の見出しではと短縮して呼ばれます。
 ダルビッシュが高校生だったころ、甲子園大会で大活躍しました。そのころ僕は編集者として高校野球を担当していました。つらかったのは、ダルビッシュの見出し。 ときちんと表記しないといけません。すると、これだけで8文字も使ってしまいます。ダルビッシュが15奪三振で完封した試合があったとしても「ダルビッシュ投手完封」で、10文字。これでメイン見出しは制限字数いっぱい。
 今ならプロなので、見出しとしては「気迫ダル 15奪三振完封」などとできます。これで10文字。「気迫」とか「15奪三振」といった表現が入りました。状況がよく伝わります。
 このようにプロ野球の「ソフトバンク」を
「ソフト」と呼んだり、「タカ」「鷹」と短く表記するのもそのためです。

見出しには、ことわざをもじったり流行語や歌から言葉を拝借したり、いろいろな表現手法があります。編集記者は、雑誌やテレビ、映画などから気の利いた表現をメモしたりして、言葉を蓄えたり、勉強したりしています。
 また、とも言われます。締め切り時間直前に手元に届いた原稿に、すぐに見出しをつけないといけないからです。僕の後輩の女性記者が言っていました。「締め切り前に飛び込んできたニュースの見出しがつかない。私の全人生が問われているような気になる。良い見出しがつかないまま締め切り時間になると、その日は家に帰ってからも悔しくて眠れませんでした」。その通りだと思います。僕も編集記者を長く担当しましたが、悔しくつらい思い出がいっぱいです。
