新聞読み方講座
第20回巨大地震への対応

2015年1月は、6400余名の命を奪った阪神・淡路大震災から20年。その教訓から生まれた防災・復興策は少しずつ進んできました。その間にも、東日本大震災をはじめとする大きな地震や自然災害が何度もありました。それらの教訓を、今後発生すると予測される南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に向けた「備え」につなげていくのが大切な課題です。

高知でいえば、巨大地震は数十年のうちに必ず来ます。大きな津波が来る可能性も高いです。これらのことを理解し、事前に準備をしておけば、地震予知は難しくても被害は減らせます。高知県を始め各市町村の自治体も「最大の課題」として、津波避難タワーの建設や高台移転事業への取り組みなどの対応を懸命に進めています。

たち新聞社などのメディア各社は、こういった過去の災害を節目節目に報じ続けています。それは、再び大地震が起きたとき、これまでの大震災のつらい経験をみんなで共有し、「まず高いところへ逃げる」「逃げるルートは事前に調べておく」など準備をしておいてほしい。被害を少しでも減らしたい――。そう考えるからです。そのために、災害の体験を風化させないように、繰り返し報道しています。

阪神大震災の教訓としては、例えば活断層調査の強化があります。過去に地震を起こし、今後も起こす可能性がある断層を活断層といいますが、政府は、阪神大震災後、地震調査研究推進本部を立ち上げ、全国各地のM7以上の大地震の恐れがある110の断層の調査を進めています。活断層が地震を起こす間隔は「数千年以上」といわれ、前回の地震が史料として残っていることはほとんどありませんが、研究の進化で活動間隔の絞り込みなどが行われ、次の地震を推定し、防災に役立てようとする様々な研究が続けられています。

高知総局 外園

それでも、地震予知はまだまだ難しいです。だからこそ、ふだんからの防災意識が大切になります。地震が来たらどこに逃げるのか、何をもって逃げるのか、家族との連絡はどのようにするのか、自分の身近なところから、できることから話し合い、意識しておいてほしいのです。そのことが、かならずやってくる自然災害に対し、わたしたちの命を守ることにつながるのです。

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